トップ > お役立ち情報TOP > 介護職員初任者研修 > -やせ-高齢男性の60歳代と70歳代の間では痩せの割合が1.5倍に増加

-やせ-高齢男性の60歳代と70歳代の間では痩せの割合が1.5倍に増加

平成23年国民健康・栄養調査によると、70歳以上の高齢者では、1日に摂取する総エネルギー量が、2,000kcalを下回っています。60歳未満の10歳ごとの年齢階層では、いずれも2,000kcal以上の摂取量となっていることから、他の年齢階層に比べると70歳以上のエネルギー摂取量の少なさは顕著であり、60歳代に比べると約200kcalも摂取量が減少しています。

生活習慣病予防という考え方から、肥満について世間では関心が高まっており、BMIという指標が広く知られて来ています。BMIという数値は、【BMI(体格指数)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)】という数式で算出されます。

BMIは【BMI<18.5】を低体重、【18.5≦BMI<25】を普通、【25≦BMI】を肥満と判定します。BMIでもっとも理想とされる数値である【BMI=22】となる標準体重では、生活習慣病などの疾病に罹患する可能性が低く、健康を維持するには最も良い体重であるとされています。

痩せは、BMIによると【BMI<18.5】であると考えられています。平成23年国民健康・栄養調査では、【BMI<18.5】の痩せとなるヒトの割合は、60歳代・男性:3.9%、女性:8.7%、70歳以上・男性:6.4%、女性:9.7%となっています。

男性の60歳代と70歳代との間では、痩せの割合が1.5倍以上に増えています。日常生活の変化、社会生活の変化などによって、活動性が変化するためにエネルギーの消費量が減少して、エネルギーの摂取量を必要としなくなったことが、大きな痩せの要因のひとつになっていると考えられます。

《JACC Study・日本の高齢者における肥満度と総死亡との関連 玉腰暁子(http://www.aichi-med-u.ac.jp/jacc/reports/tamaa6/index.html)》によりますと、65歳以上の高齢者で【20≦BMI<30】の場合には男性、女性ともに死亡リスクが低い1倍以下となっており、男性では【BMI≧30】でも1倍以下という結果が出ています。その一方で【BMI<20】では、男性、女性ともに1倍以上となり、【BMI<16】では男性は1.78倍、女性は2.55倍の死亡リスクとなる結果となっています。

高齢者の肥満(太っていること)と死亡リスクには関連性が低く、むしろ痩せている場合に死亡リスクとの関連性が高いというふうに考えることが出来ます。

高齢者の健康を考える場合には、特に70歳以上の男性に対しては、成人のように太り過ぎを問題とする以上に、痩せについて注意を払って行かなければならないと思われます。痩せることによって脂肪などによる身体全体の健康維持に資する余力が乏しく、その為に疾病に対する抵抗力や治癒力などが衰えてしまっていると言うことが考えられます。



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
認知症のBPSDのために行われる薬物治療の進め方とポイントとなる薬物治療検討のための4つの条件
認知症の治療は薬物治療を検討する前に認知症ケアやリハビリテーションの介入をまず考慮
認知症の鑑別診断で中心となるのは神経心理検査による診断で画像診断は補助的診断
認知症高齢者のいのちを保つため認知症の進行を抑止するためには心地好い口腔ケアが必要?
認知症高齢者の活動性低下を防ぐにはフレイルティ・サイクルを断ち切るのが一番?
認知症高齢者の低栄養の原因は認知症のために美味しく・楽しく・心地好く食事が出来なくなること?
-便秘-認知症の高齢者の便秘予防や対策に特に必要と考えられる4つの配慮
-脱水-高齢者が脱水症になりやすいのは若年者に比べると体内の水分量が不足して脱水になってるから?
-軽度認知障害-認知症の早期発見・早期治療のために期待されている軽度認知障害の有症率は11~17%
-特発性正常圧水頭症-原因疾患が特定出来ない60歳以上の高齢者に起きる正常圧水頭症

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。