褥瘡の定義は、「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」とされています。
褥瘡とは、持続的に体重で圧迫されている皮膚の部位で、血流が悪くなったり滞るといった血流障害(阻血性障害)が生じるために、血流障害が生じた皮膚の部位や周辺が、赤い色味を帯びたり、ただれたり、傷が出来るなどが生じるという、皮膚や皮下組織などが壊死した状態となることであります。
褥瘡の有病率は、日本褥瘡学会が2006年に調査した結果によると、病院:0.96~3.32%、介護老人福祉施設:2.47%、介護老人保健施設:2.67%、訪問看護ステーション:8.32%となっています。
褥瘡は、●直接要因、●皮膚要因、●全身要因、●社会的要因が関連し合って生じると考えられます。
●直接要因
①自分で寝返り(体位変換)が出来ない
②心身の状況によって長時間にわたって同じ体位(座位)を保たざるを得ない
●皮膚要因
①同じ部分に長時間にわたって皮膚に圧迫がかかる
②摩擦・ずれが生じて皮膚が弱くなっている
③尿・便に常に汚染されて湿った状態になっている
④皮膚が乾燥して刺激に弱くなっている
⑤局所の皮膚疾患に罹患している
●全身要因
①意識の低下が見られる
②低栄養
③やせている
④手足の関節が硬い
⑤骨盤骨折、糖尿病、脳血管疾患、脊髄損傷などがある
⑥抗がん剤、ステロイド剤などの薬剤を使用している
⑦むくみ(浮腫)がある
⑧加齢による皮膚組織・機能の生理的老化
●社会的要因
①介護力不足
②社会的サービスや制度などの情報不足
③経済的な問題
褥瘡の好発部位は、骨が突出していて、体圧が集中する部位となります。
≪褥瘡の好発部位≫
●仰臥位:仙骨部(尻)、後頭部、踵骨部(かかと)、肘頭部、肩甲骨部
●側臥位:腸骨稜部(こし骨)、大転子部(大腿骨)、踝骨部外果部・内果部、膝関節顆部、露骨部、肩峰突起部、耳介部
●腹臥位:趾部、膝関節部、性器/男性、乳房/女性、肩峰突起部、耳介部
●長座位:踵骨部、坐骨部、仙骨部、肩甲骨部、後頭部
●椅子座位:仙骨部、尾骨部、肩甲骨部
≪褥瘡の原因疾患≫
①注意しなければならない疾患
●骨盤骨折
●糖尿病
●脳血管疾患
●脊髄損傷
②注意する疾患
●悪性腫瘍
●アルツハイマー病
●うっ血性心不全
●関節リウマチ
●骨粗鬆症
●深部静脈血栓症
●パーキンソン病
●COPD
●末梢血管疾患
●尿路感染症
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