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-脱水-脱水は身体から水分と電解質が同時に失われた状態で水分を補給するだけでは効果なし?

脱水とは、身体から体液に含まれる≪水分≫が失われるだけで無く≪電解質(ミネラル)≫も同時に失われた状態とされています。脱水には、①高張性脱水、②等張性脱水、③低張性脱水の3種類があります。

ヒトは、水分や電解質を汗や尿、便、呼気などによって体外に出して、飲料や食事に含まれる水分、エネルギー産出時の産生水分によって得ています。ヒトは、一日に約2.5Lの水分の出し入れを行うことで、ホメオスタシスを維持しています。

飲料(1.0L)+食事(1.2L)+体内産生水分(0.3L)=汗・呼気(1.2L)+尿・便(1.3L)

高齢者の体内の水分量は50%となっていて、若年者の60%に比べると2割も少ないことになります。汗や排泄の量が多くなることは、若年者に比べると水分量の余力が少ない高齢者では、体内に水分が十分に補給されないと、脱水状態に陥りやすくなってしまい、ホメオスタシスの維持が困難となってしまいます。

≪脱水の症状≫

①のどが渇く、尿量減少

②倦怠感、頭痛、めまい、嘔吐、立ちくらみ、食欲低下など

③喀痰排出困難、血圧・臓器血流低下

④譫妄、嗜眠(傾眠)、昏睡、心不全、腎不全、呼吸不全

⑤ADL、QOL低下

⑥死の転帰

≪高齢者の脱水原因≫

①身体の水分含有量の低下(備蓄水分量の低下)

②のどの渇きを感じにくく、食欲減退による水分摂取が減少しやすい(口渇感受性の低下)

③腎臓の機能低下によって水分や電解質の調節機能が低下している(腎機能の低下)

④併存疾患によっては、脱水状態との区別がつきにくいため、水分補給を怠ってしまう(併存疾患の存在)

⑤失禁や頻尿などを防ごうとして必要以上に水分摂取を抑制してしまう(水分摂取の抑制)

≪生活環境の注意点≫

①室内の温度が28℃を越えている

②室内の風通しが悪い

③直射日光の当たる部屋で過ごしている

≪生活上の注意点≫

①一日中長袖で過ごしていることが多い

②水分を摂取する量が少ない

③急速な食欲の低下が見られる

④痰が絡んだ咳を繰り返す

⑤腋の下に汗をかかない

⑥皮膚に張りが見られない(手の甲の皮膚をつまみ上げてもすぐに元にもどらない⇒ハンカチーフサイン)

ヒトは、水分の排出と同時に電解質も排出していることから、ホメオスタシスの維持のためには、水分と同時に必要十分量のミネラルも取得する必要があります。脱水時には、水分だけを補給することは、低張性脱水となり体内の電解質濃度が低下することになり、濃度を上げるために水分代謝が著しくなり、さらに濃度が低下するという悪循環に陥る危険性があることに留意しなくてはなりません。

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