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-尿失禁-高齢者だけでなく介護者にも負担がかかる尿失禁は60歳以上の高齢者では50%以上

尿失禁とは、その人の意思や目的に反して、尿が漏れてしまう状態が生じて、それによってQOLが低下することであります。尿失禁は、60歳以上の高齢者では、50%以上に見られるといわれています。

尿失禁による日常生活上の問題点には、本人が感じるものと、介護者が感じるものがあります。本人と介護者との間で、それぞれが感じている尿失禁にかかわる日常生活上の問題によって、人間関係に摩擦が生じる可能性が考えられます。

≪日常生活上の問題点≫

本人:●頻回の排尿、●不眠、トイレや部屋の汚染、汚損、●外出、社会活動の断念、●いらいらや罪悪感、など

介護者:●頻回の排尿介助、●頻回のおむつ、寝具などの交換、●介護疲れ、●経済的負担など

高齢者の尿失禁の原因には、①加齢による排尿機能の低下、②泌尿器科的疾患(前立腺肥大症、神経因性膀胱など)、③加齢・併存疾患による日常活動力や認知能力の低下などが考えられます。

尿失禁のうちで、①精神的錯乱状態・譫妄、②尿路感染症、③萎縮性膣炎または尿道炎、④常用薬剤、⑤精神的(ストレス反応)、⑥多尿、⑦運動制限、⑧便秘などが原因となるものは、尿失禁となった原因を取り除くことで、一過性に経過して改善される可能性が大きいと考えられています。

≪尿失禁の分類≫

●腹圧性尿失禁

⇒咳、くしゃみや重い物を持ち上げたりした時に、腹圧が上昇することで尿が漏れてしまう

●切迫性尿失禁

⇒強い尿意切迫感とともに、トイレまで尿をこらえきれずに、尿が漏れてしまう

●溢流(いつりゅう)性尿失禁

⇒排出障害が基礎疾患としてあり、尿が膀胱に残り、少しずつ尿が漏れてしまう

●機能性尿失禁

⇒運動機能の障害や、認知症などのためにトイレに間に合わない、あるいはトイレが分からない、排泄行為が認識できないなどの理由で起きる

≪尿失禁への留意点≫

▼尿が漏れているからといって、すべて漏れているわけではない

▼尿漏れが止まったことで、尿が出にくくなっていないか気をつける

▼排尿時の痛みや残尿感が強くなった場合、膀胱炎の疑いがある

▼検尿や残尿測定などの検査は定期的に受ける

▼家族で普段から排尿日誌をつける習慣をつけさせる

※オムツの使用については、排尿することに対して無関心になり、トイレに行く意識を奪ってしまうことがあり、出来るだけ避けることが望まれます。ただし、オムツを使用する事により、外出しやすくなることもありますので、臨機応変に考える必要があります。

※尿道カテーテルを入れると、膀胱炎や腎盂腎炎を起こし、腎機能が悪くなります。また、行動の機会がなくなり、寝たきりになるおそれが生じます。

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