頭痛は、頭部の一部あるいは全部の痛みのことで、後頭部と後頸部(首)との境界の痛みや、眼の奥の痛みも頭痛として扱うとされています。
頭痛には、原因となる疾病が見られない一次性頭痛(慢性頭痛症)と、脳や頭部の疾病の症状として見られる二次性頭痛(症候性頭痛)に大別されます。一次性頭痛には、偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、二次性頭痛には、脳卒中、頭蓋内血腫、髄膜炎、脳腫瘍などの疾病が原因となることがあるとされています。
頭痛の分類は、国際頭痛学会の≪国際頭痛分類 第二版(ICHD-Ⅱ)≫によって行われています。
Ⅰ.一次性頭痛
1.偏頭痛
2.緊張型頭痛
3.群発頭痛及びその他の三叉神経・自律神経性頭痛
4.その他の一次性頭痛(一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性労作性頭痛など)
Ⅱ.二次性頭痛
5.頭頸部外傷(硬膜外血腫、むち打ち損傷など)による頭痛
6.頭頸部血管障害(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、脳動静脈奇形など)による頭痛
7.非血管性頭蓋内疾患(脳腫瘍、無菌性髄膜炎、水頭症、てんかん発作など)による頭痛
8.物質(一酸化炭素、アルコール、食品の成分や添加物、薬物など)またはその離脱による頭痛
9.感染症(細菌性髄膜炎、脳炎、AIDSなど)による頭痛
10.ホメオスターシスの障害(高血圧、甲状腺機能低下症、睡眠時無呼吸など)による頭痛
11.頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頭蓋の構成組織の障害に起因する頭痛あるいは顔面痛
12.精神疾患による頭痛
Ⅲ.頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛
13.頭部神経痛および中枢性顔面痛(三叉神経痛、寒冷刺激、視神経炎、帯状疱疹などによる頭痛)
14.その他の頭痛、頭部神経痛、中枢性あるいは原発性顔面痛
一次性頭痛のうちで、緊張型頭痛の有病率は22.4%、偏頭痛は8.4%と報告されています。偏頭痛は、20~40歳代の女性に多く見られ、加齢に伴い偏頭痛の発症者は、男性・女性共に、減少する傾向が見られます。
一次性頭痛の発症は、高齢者では少なくなると考えられます。高齢者の頭痛が初発の場合などでは、脳や頭部の疾病の症状として見られる、二次性頭痛(症候性頭痛)の可能性が大きいことに注意が必要となります。
成人の二次性頭痛で、早急に受診・検査・診断が必要と考えられるものには、以下のような頭痛の症状があるとされています。
●「最初にして最もひどい」頭痛
●頻度と程度が増して行く頭痛
●50歳以降に新しく出現した頭痛
●神経脱落症状(麻痺や機能障害など)を有する頭痛
●がんや免疫不全の病態を有する患者の頭痛
●精神症状を有する患者の頭痛
●発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛
など
≪二次性頭痛の診断基準≫
A.頭痛は以下の特徴のうち1項目(または複数)を有し、かつCとDとを満たす
B.他の疾患が、頭痛の原因となることが証明されている
C.頭痛が他の疾患と時期的に一致して起こる、または頭痛と他の疾患の因果関係を示す証拠が存在する
D.頭痛は原因膝下の治療成功または自然緩解後、3ヶ月居ない(これより短期間になることもあり)に大幅に軽減または消失する
参考:国際頭痛分類 第二版(https://www.jhsnet.org/gakkaishi/jhs_gakkaishi_31-1_ICHD2.pdf)
602304