ウイルス性肝炎となる肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。我が国で見られるウイルス性肝炎は、B型とC型のウイルス性肝炎がほとんどで、あわせて300万人以上の肝炎患者・感染者がいるといわれています。そのうちでC型肝炎ウイルス患者・感染者は、約200万人といわれており、そのうちの半数が60歳以上であるとされています。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染することで、慢性肝炎⇒肝硬変⇒肝がんという経過をたどるとされています。C型肝炎ウイルスに感染しても、約30%は一過性感染となって治癒し、約70%が持続性感染状態となって、慢性肝炎に移行するとされています。
慢性肝炎となってから治療を行わないでおくと、約20年を経て約30~40%が肝硬変に進行して、さらに肝細胞がんに移行する可能性があるといわれています。肝がんの約70~80%が、C型肝炎ウイルスによる肝細胞がんであるとされています。C型肝炎による発がんの可能性が高い危険因子は、≪高齢≫、≪肝細胞の繊維化進展≫、≪男性≫であるとされています。
C型肝炎ウイルスは、C型肝炎ウイルスの感染者の血液を介して感染します。空気感染はしません。
≪主な感染経路≫
●C型肝炎ウイルスが含まれている血液の輸血等を行った場合
●注射針・注射器をC型肝炎ウイルスに感染している人と共用した場合
●C型肝炎ウイルス陽性の血液を傷のある手で触ったり、針刺し事故を起こしたりした場合
●C型肝炎ウイルスに感染している人が使用した器具を、適切な消毒などを行わずにそのまま用いて、入れ墨やピアスの穴あけなどをした場合
≪C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般より高い方≫
①1992(平成4)年以前に輸血を受けた方
②大きな手術を受けた方
③血液凝固因子製剤を投与された方
④長期に血液透析を受けている方
⑤臓器移植を受けた方
⑥薬物濫用者、入れ墨をしている方
⑦ボディピアスを施している方
⑧その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにもかかわらず、その後肝炎の検査を実施していない方等)薬物濫用者、入れ墨をしている方
出典:C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ/厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/h0117-2/index.html)
C型肝炎の症状は、慢性肝炎の段階では、易疲労性、食欲不振などが見られる程度で、特徴的な自覚症状が見られることはなく、肝硬変や肝がんとなっても症状が見られない場合があるほどで、C型肝炎ウイルスの血液検査を行わなければわかりにくい疾病であります。
C型肝炎の感染によって、慢性肝炎から肝硬変へと進行した場合には、掌が赤くなる≪手掌紅斑≫や黄疸、むくみ、腹水、出血傾向、肝性脳症などが見られるようになります。肝がんとなった場合でも、がんの進行によって腹痛や熱発、黄疸などが見られるようになります。
≪C型肝炎の予防≫
●感染者
⇒献血をしない、臓器や組織を提供しない、精液を提供しない
⇒歯ブラシ、カミソリなど血液が付着するようなものを他の人と共用しない
⇒C型肝炎ウイルスが感染しないように、皮膚の傷を覆う
⇒月経血、鼻血などは自分で始末する
など
●一般的予防
⇒歯ブラシ、カミソリなど血液が付いている可能性のあるものを共用しない
⇒他の人の血液に触るときは、ゴム手袋を着ける
⇒注射器や注射針を共用して、非合法の薬物(覚せい剤、麻薬等)の注射をしない
⇒入れ墨やピアスをするときは、清潔な器具であることを必ず確かめる
⇒よく知らない相手との性行為にはコンドームを使用する
など
出典:長岡市医師会(http://www.nagaoka-med.or.jp/kansensho/tsuuchi_etc/C_kanen/Ckanen_yobou.html)
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