低温やけどは、体温より少しあたたかい「ちょうどよい」と感じる程度の熱源に、一般的には長時間触れていることで、熱さや痛み、紅斑、水疱などの症状が生じるやけどのことです。自覚症状が伴わずに、皮膚の内部に損傷が生じている場合もあります。冬場に、45~60℃で身体を温める暖房器具・用具で低温やけどを引き起こす人が多く見られます。
普通のやけど(熱傷)のように、熱さや痛みなどの自覚症状を感じにくいために、重症では無いと考えがちですが、熱源との接触時間が長いために、自覚症状に反して皮膚の内部まで損傷していることがあり、治癒までに時間がかかったり、皮膚組織の壊死が引き起こされているために移植が必要となる場合もあります。
低温やけどは、熱さや痛みをあまり感じないために、気がつかないままにやけどの症状が進行していることに注意が必要となります。高齢者は、皮膚温度感受性の低下によって、熱さを感じにくくなっているだけでなく、皮膚組織が薄くなっていることから、低温やけどの症状が進行しやすくなると考えられます。
低温やけどは、触っていてもあたたかい60℃くらいの温度で、圧迫を1分間つづけると生じます。50℃でも3分間圧迫を続けると低温やけどになるといわれています。
消費者庁のNews Release(平成25年2月27日)では、熱いものに接触している皮膚の温度とやけどになるまでの時間について、≪44℃では3時間から4時間≫、≪46℃では30分から1時間≫、≪50℃では2分から3分≫と示されています。
≪低温やけどの予防法≫
●製品の取り扱い上の注意などを確認して、使用時間、使用温度などの使用方法を守る
●肌に直接接触させない、同じ部位の接触を続けない、圧迫しない
●就寝時の暖房器具・用具の使用は、寝具が暖まるまでにする
●電気カーペットの上では寝ない
●高齢者や乳幼児、皮膚の感覚機能が鈍っている糖尿病患者などの人は、暖房器具・用具が身体の同じ部分に長時間当たらないように、周囲の人が随時調節する
602248