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老人性難聴(加齢性難聴)にはコミュニケーションの配慮が必要です

老人性難聴は、多くは生理的老化による感音性難聴で、30歳代からゆっくりと進行して、50~60歳代で聞こえの悪さに気づくようになりますが、生理的老化には個体差が大きいことから、80歳を過ぎても良く聞こえている方もいます。

老人性難聴は、耳に入ってきた音を、聴神経に伝える内耳の蝸牛の中にある有毛細胞が、生理的老化によって脱落したり、変性したりすることにより、音を捉えることが難しくなることで、音の情報が脳の聴覚中枢に伝わらなくなるために生じるものであります。

老人性難聴は、多くは両耳に同じように聞こえの悪さが始まり、高い音がより聞き取りにくくなります。50音の≪さ行≫、≪は行≫、≪か行≫、≪た行≫などを構成するいくつかの子音は、高い音域に属するために、聞き間違いを起こすことがあります。会話の声が聞こえていても、≪何を言っているのか内容が聞き取れない≫、≪周囲に会話以外の雑音・生活騒音などがあると聞き取りにくくなる≫といった、言葉を聞き分ける能力も生理的老化によって低下して行きます。

老人性難聴の病的老化を引き起こす要因としては、生活習慣病などの疾病や、パチンコ店内やヘッドホン・イヤホンからの大音量の音、工事現場などの騒音への長時間曝露、栄養摂取、喫煙、運動などの生活習慣などがあります。

老人性難聴を回復させることは困難で、音の聞こえの悪さを改善するには、補聴器などの福祉用具を使うことになります。また、日常生活上でのコミュニケーションへの配慮が必要と考えられます。

≪日常生活上のトラブル≫

●聞き返しが増えて嫌がられる

●聞き誤りが多くなり、人間関係が悪化する

●見当違いの応答が増えて、認知症などの病気を疑われる

●話を最後まで聞かないと勘違いされる

●いらつきが増えて、怒りっぽくなったと周囲から避けられる

日常生活の小さなトラブルが繰り返されることで、≪疎外感:周りから疎んじられている≫、≪孤独感:会話の不足、不満足などによる≫、≪被害感:自分はいない方が良い≫などが生じる事で、引きこもりになり不活発になってしまい、QOLの低下だけで無く、ADLの低下まで引き起こすおそれがあります。

≪高齢者とのコミュニケーションの配慮≫

●静かな場所を選ぶ

●騒音を少なくする

●お互いの顔を見ながら話す

●口形や表情が見やすいように明るいところで話す

●普通の声の大きさで、ゆっくり目に、はっきりと話す

●話す内容は、ひとつの内容で簡潔に短めにする

●話をする前には、声かけや合図をする

●相づちを打ってもわかっていない場合がある

など

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