緑内障とは、「緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる目の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と≪緑内障診療ガイドライン(第三版)≫では定義されています。
我が国では、緑内障は失明原因の第一位になっており、緑内障の罹患率は、40歳以上の日本人成人では、5~7%であると考えられ、そのうちの約90%が潜在患者であるという調査結果が出ています。
緑内障は、緑内障となる原因の有無と、房水の眼内からの流出する部位となっている隅角の状態によって分類されています。
Ⅰ.原発緑内障:眼圧上昇ないし視神経障害の原因を緑内障以外の疾患に求めることが出来ないもの
1.原発開放隅角緑内障(広義)
2.原発閉塞隅角緑内障
3.混合型緑内障
Ⅱ.続発型緑内障:緑内障以外の眼疾患や全身疾患、疾病治療のための薬物使用が原因となって眼圧上昇が生じるもの
1.続発開放隅角緑内障
2.続発閉塞隅角緑内障
Ⅲ.発達緑内障:胎生期の隅角発育異常により眼圧以上を生じるもの
1.早発型発達緑内障
2.遅発型発達緑内障
3.他の先天異常を伴う発達緑内障
房水は、眼内の毛様体で作られて、隅角にある線維柱体・シュレム管から眼外に流出して行きます。眼圧上昇の原因は、主に隅角の閉塞や線維柱体の目詰まりと考えられます。日本人の平均眼圧は、14,5mmHgで、正常眼圧は、10~20mmHgとされています。眼圧は、日内変動があり、冬に高く、夏に低いという季節変動も見られます。
原発開放隅角緑内障(広義)には、正常眼圧緑内障が含まれています。正常眼圧緑内障は、眼圧値が正常範囲であるにもかかわらず、緑内障の症状が見られるもので、眼圧を下げる治療を行うことで、緑内障の症状の改善や抑制を図ることが出来るということです。緑内障の罹患者の過半数(約7割)が正常眼圧緑内障であることがわかっており、眼圧に対する視神経細胞の脆弱性に個体差があることが、正常眼圧緑内障を引き起こす原因であると考えられます。
緑内障の危険因子は、●眼圧が高い、●高齢者、●家族歴、●近視、●糖尿病、●高血圧、●低血圧、●副腎皮質ステロイ薬の使用、●喫煙などとなっています。
緑内障の症状は、①眼痛、②頭痛、③霧視(霧がかかったような見え方)、④視野欠損、⑤充血などがあります。
緑内障は、進行性の疾患で発症すると、失明に至るまで手立てが無いと考えられていました。確かに、進行を抑制し止めることが出来なければ、いずれは失明することになりますし、眼圧が上がりすぎると視神経線維が傷つきやすくなり、視神経線維が傷つくと視機能を失ってしまい、その結果により視野が失われてしまいます。一度傷ついた視神経線維や視野は、治療を行っても回復することはありません。
現在では、緑内障の早期発見・早期治療を行う事で、緑内障の進行を抑制することが可能となり、視野を維持することが出来るようになっています。緑内障の危険因子の中で、日常的に生活習慣や疾病の改善を行うと同時に、継続的な緑内障の治療を行って、神経障害の進行が抑止されるレベルへの眼圧コントロールが行われることが、緑内障への取り組みとして必要であると考えられます。
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