骨粗鬆症は、生理的老化に病的老化となる要因が加わることで発症する疾病であり、病的老化となる要因を予防することに加えて、生理的老化を抑える工夫をすることが、骨粗鬆症の発症を予防することにつながると考えられます。
骨の海綿骨は、カルシウムと善玉コラーゲンを必要としており、骨粗鬆症は、破骨細胞によるカルシウムの血中への送り出し(骨吸収)が骨芽細胞による骨形成よりも亢進しているために、骨リモデリングのバランスが崩れたことによるものと善玉コラーゲンの劣化や悪玉コラーゲンによるコラーゲン架橋によるものです。血液中のカルシウム濃度が低下すると、破骨細胞の骨吸収は亢進してしまいますので、血液中のカルシウム濃度を減らさないことや善玉コラーゲンの劣化を防いだり悪玉コラーゲン増やさないことが、骨粗鬆症の予防になると考えられます。
骨量減少予防のために、血液中のカルシウムを増やすには、カルシウムの摂取と吸収を促進することが必要となります。そのためには、カルシウムを多く含む食品を摂取すること、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKを摂取することやカルシウムの吸収を妨げるリンや食塩の摂取を控えることが必要となります。
骨質維持のために、善玉コラーゲンの劣化と悪玉コラーゲンの増加を防ぐには、ビタミンB6、B12や葉酸を補うことが必要と考えられています。
骨粗鬆症の予防のためには、食事も重要なポイントとなりますが、食事で摂取したカルシウムや栄養素などを活性化したり、骨代謝を良くするための運動も重要なポイントとなります。
運動不足は、骨吸収を亢進させます。運動をすることで、骨形成を促進します。骨を強くするには、骨にかかる力が大きく、くり返しが多いほど良いとされますが、年齢や体力、生活習慣、骨強度に応じた運動を行うことが肝腎であります。習慣的に行える運動を続けることが一番とされていますし、日常生活でくり返し行われている家事行為もその動作が骨に適度な負荷をかける運動と考えられています。
骨粗鬆症の予防は、骨粗鬆症にならないために病的老化とならないための予防だけでなく、骨粗鬆症に伴う症状としての骨折と、その大きな原因となる転倒の予防も重要な対策と考えられます。
≪転倒・骨折予防≫
▼サンダル・スリッパなど脱げやすい履き物は履かない。
▼外出時は、出来るだけデイパックやリュックなどを用いて、両手がふさがらないようにする。
▼時間に余裕を持った予定を立てて、焦って行動しないようにする。
▼足下の悪い場所や天候、暗い場所や時間帯などにはなるべく外出しない。
▼移動能力に応じた福祉用具などを使う。
▼小さな段差に注意する。
▼つまづいたり、滑ったりする危険性が無いように、室内は整理整頓する。
▼室内の移動で家具などを頼りにしない。
など
転倒・骨折は、ADLの低下を引き起こし、介護が必要な状態となる大きな原因にもなっています。自立支援を行ってゆくために、介護保険制度の運用として、平成27年の次期改定には、リハスタッフの活用がポイントとなっていることもあり、日常生活の中での転倒予防のアセスメントをリハスタッフに依頼して、移動や動作のチェックや方法の検討だけでなく、福祉用具の活用や住環境整備を検討して行くことが必要と考えられます。
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