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パーキソニズムには本態性パーキンソニズムと症候性パーキンソニズムがあります

パーキンソン病は、1817年にジェームズ・パーキンソンが報告した進行性の神経変性疾患で、我が国の有病率は、人口10万人あたりで、120~150人とされています。パーキンソン病の発症年齢は、50歳代後半から60歳代がピークとなっています。

パーキンソン病は、中脳・黒質にあるドーパミン神経細胞が変性・脱落するために、ドーパミン神経細胞が産生するドーパミンが減少(20%以下になるとパーキンソン病が発症すると言われている)することになり、ドーパミン神経が中脳・黒質で作ったドーパミンを大脳基底核・線条体に運ぶ量が減ってしまい、大脳基底核・線条体の神経伝達物質として働くドーパミンが欠乏・枯渇することで引き起こされます。

パーキンソン病の運動症状が発現する前に、嗅覚低下、便秘、REM睡眠行動異常症(RBD)などが見られることがあります。嗅覚低下、便秘、REM睡眠行動異常症(RBD)などは、中脳・黒質より先に嗅球、脳幹部、消化管や心臓の自律神経節にレビー小体が蓄積することが原因となって引き起こされていると考えられています。

パーキンソン病には、疾病の特徴となる数多くの運動症状があり、①安静時のふるえ(安静時振戦)、②筋強剛(筋固縮)、③動作緩慢(寡動、無動)、④バランスが取りにくくなる(姿勢反射障害)を4大症状と言っています。その他の運動症状には、同時に二つの動作をする能力の低下、自由な速さのリズムが作られなくなるなどの症状が見られます。

パーキンソン病には、運動症状のほかに様々な非運動症状があり、便秘、排尿障害(頻尿、残尿)、立ちくらみ(起立性低血圧)、睡眠障害(入眠困難、中途覚醒、日中の眠気、むずむず脚症候群、REM睡眠時行動障害)、抑うつ、不安、無関心、幻覚、妄想、嗅覚の低下、流涎、多汗、嚥下困難、性機能障害、冷え、痛み、倦怠感、むくみなどの症状が見られます。

パーキンソン病の特有の病状は、①左右どちらか片側から発症し、②発症後2~3年で反対側にも症状が出て、③病歴が長くなっても左右差が認められ、④ふるえや動作のぎこちなさが初発症状として多く、⑤姿勢反射や足のすくみは初発症状としては見られないとされています。

パーキンソン病の症状と同様の症状を示す疾患が数多くあり、パーキンソニズム(パーキンソン症候群)としてパーキンソン病とその他の疾病とが分類されており、パーキンソン症状が見られても、左右差が見られない、姿勢反射障害や足のすくみが初発症状の場合は、パーキパーキンソン病以外のパーキンソン症候群の可能性があると考えられます。

パーキンソニズムは、大きくは本態性パーキンソニズムと症候性パーキンソニズムとに分けられています。

≪パーキンソン病とパーキンソニズムの分類≫

Ⅰ.本態性パーキンソニズム

A.パーキンソン病

B.若年発症パーキンソニズム

C.遺伝性パーキンソニズム:常染色体優性型と劣性型

Ⅱ.症候性パーキンソニズム

A.薬物性パーキンソニズム

B.脳血管性パーキンソニズム

C.脳炎後パーキンソニズム

C.中毒性パーキンソニズム:一酸化炭素、マンガン、二硫化炭素、水銀、その他

E.中枢神経系の後天疾患に伴うパーキンソニズム:正常圧水頭症、頭部外傷の後遺症、慢性硬膜下血腫など

F.中枢神経系の変性疾患にともなうパーキンソニズム

(1)錐体外路症状を主徴とするパーキンソニズム:線条体黒質変性症、進行性核上皮麻痺、オリーブ橋小脳萎縮症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、ハンチントン病など

(2)痴呆・大脳皮質症状を主徴とするパーキンソニズム:汎発性レビー小体症、大脳皮質基底核萎縮症、パーキンソン痴呆複合(グアム島)、アルツハイマー病、ピック病など

(出典:パーキンソン病とパーキンソニズム/病気のプロフィル No.31)

602201



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