生活不活発病とは、廃用症候群の別名です。廃用症候群は、「病気やけがなどで、長期間安静にしていることによって起こる弊害の総称。筋肉・骨組織の萎縮(いしゆく)、関節の拘縮、心肺機能の低下、意欲の低下、床擦れなど。特に高齢者においては、寝た切りの原因となることが多い。生活不活発病」(大辞林・三省堂)と定義されており、生活不活発病のことであると言えます。
「廃用」というと、「長い間使わなかったために、器官や筋肉の機能が失われたり、萎縮すること」(大辞林・三省堂)で、器官や筋肉の機能が廃してしまった状態を意味します。廃用性症候群は、機能が廃してしまうまでには、日常生活での支障が様々な形で見られており、その端緒は生活行動の不活発に起因するもので、≪(生活不活発)使わなくなる⇒少し使い難くなる⇒さらに使わなくなる⇒もっと使い難くなる⇒・・・⇒とても使い難くなる⇒使えなくなる(廃用)≫という生活不活発の悪循環が繰り返されることによります。
≪生活不活発病の主な症状≫
1.体の一部に起こるもの
①関節拘縮
②廃用性筋萎縮・筋力低下・筋持久性低下
③廃用性骨萎縮
④皮膚萎縮(短縮)
⑤褥瘡
⑥静脈血栓症→肺塞栓症
など
2.全身に影響するもの
①心肺機能低下
②起立性低血圧
③消化機能低下:食欲不振・便秘
④尿量の増加→血流量の減少(脱水)
など
3.精神や神経の働きに起こるもの
①うつ状態
②知的活動低下
③周囲への無関心
④自律神経不安定
⑤姿勢・運動調節機能低下
など
出典:生活不活発病(廃用症候群)―ICF(国際生活機能分類)の「生活機能モデル」で理解する/DINF
生活不活発病の症状は、廃用症候群という考え方でとらえると、手遅れ、あとの祭りとなりかねません。生活の不活発が端緒になることで、生活不活発病となってしまい、様々な症状が引き起こされ、生活不活発の悪循環に陥ることにより廃用に至ると言うことを認知する必要があります。
生活不活発病によって、様々な心身の機能が低下して顕在化する前に、生活の活発性の維持・改善を図る取り組みをすることで、生活不活発の悪循環に陥らないように、生活習慣の変化を知ることで予防を行うことが必要と考えられます。
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