老年症候群は、老年者に多く見られる様々な原因による疾病の症候(症状)で、治療と同時に介護やケアを必要とするものとされており、50以上の症候が報告されています。老年症候群は、症候や症候の特徴と年齢などとの関係から3つに分類されています。
①急性疾患症状
⇒主に急性疾患に付随する症候で、加齢により変化しない症候群で、若年者と同じくらいの頻度で起きるが、対処方法が高齢者の場合は、工夫が必要となる症候群
⇒応急対応、トリアージ能力(限界を知る)、連携力(人脈、実績など)が医療と介護に求められる
②慢性疾患症
⇒主に慢性疾患に付随する症候で、65歳の前期高齢者から徐々に増加する症候群
⇒日常対応、悪化時指示、終末期兆候との見分けが医療と介護に求められる
③廃用症候群
⇒75歳以上の後期高齢者に急増する症候で、ADLの低下と密接な関連を持ち、医療だけでなく、介護や看護が重要となる症候群
⇒理解と応援依頼(家族、ヘルパー、看護)、リハビリ介入、全身波及を防ぐ技能が医療と介護に求められる
<図1>老年症候群
<図2>後期高齢者で急増する症候とADL低下に関連する症候群と時間軸
医療と介護には、ADL低下による症候群の理解と対応も老年症候群の理解と対応と同様に求められます。後期高齢者で急増する老年症候群とADL低下に関連する症候群とは、ほぼ同じであると考えられます。ADL低下に関連する症候群には時間軸があって、褥瘡は短時間で生じますが、筋萎縮には長い時間がかかり、認知機能の低下は、さらに長い時間を経て引き起こされることになります。
<図3>ADL低下に関連する症候群と医療と介護との連携
後期高齢者で急増する症候群、ADL低下に関連する症候群は、医療キュアだけでは解決せず、医療ケアや介護ケアなど、医療職、介護職、家族など医療と介護との協働が必須でであると考えられます。
<図1~3>出典:平成25年度在宅医療・介護連携推進事業研修会資料/国立長寿医療研究センター
602102