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味覚機能の変化は唾液の分泌や咀嚼機能の老化に影響されます

味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味にうま味を加えた5つの基本的な味があると言われています(五基本味説)。舌には数多くの味細胞が味蕾に存在し、味覚神経線維終末とシナプスを作っています。咽頭や喉頭、軟口蓋にも味蕾があり、喉ごしの味わいは咽喉頭の味蕾で感じると言われています。

味覚は、加齢によって五基本味すべてが等しく生理的老化を起こして、変化して行くことはないとされています。五基本味ごとに生理的老化の程度や速さは異なり、同じ味質でも個々の味刺激物質によって異なると考えられています。

味蕾の数は、成人で約7500個と言われています。味蕾にある味細胞は、10~12日のサイクルで新しい細胞と変わります。味細胞の新陳代謝が活発なことから、味覚の加齢による変化は、単に味蕾や味細胞の減少という生理的老化よりも、味覚を認知するための味蕾・味細胞が味成分の化学物質に反応し、味覚情報が味覚神経を経て脳に達して、脳が味覚を認知する総ての過程に、加齢に伴う生理的老化による機能低下があることが大きな原因になっていると考えられます。

また、加齢による味覚の変化は、生理的老化だけでなく、病的老化や薬物の多用に伴う副作用、唾液量の減少、口腔内の衛生状態、嗜好の変化、味覚以外の感覚の変化などが影響をおよぼしています。特に、唾液量の減少と歯の衛生状態の不良は、味覚の変化に大きな影響を及ぼします。

味覚は、味蕾・味細胞が味刺激物質となる化学物質に反応することで、味覚情報が脳に発せられます。味覚の受容器である味蕾・味細胞は、嗅覚の嗅細胞と同様に、水溶性の化学物質のみに反応します。食物の味覚として認知される化学物質が唾液や液体に溶け込んでいる事で、始めて味刺激として味蕾・味細胞は化学物質に反応することが出来ます。唾液の分泌と咀嚼による十分な食物と唾液との混合は、味覚を得るための重要な過程となり、唾液の分泌量の低下と咀嚼能力の低下は、味覚の変化や障害につながる大きな要因となります。

口腔内の衛生状態の不良の改善のために、口腔内の清掃を行うなど口腔ケアを行う事は、甘味と塩味の閾値が低下して、少しの量でも味覚が感じやすくなるだけでなく、唾液の分泌量が上昇するなど、味覚の改善だけでなく、健康の維持改善にも役立つことがわかっています。

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