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排泄機能の老化はADL、IADLに大きな影響を及ぼします

排泄機能は、身体に不要となった老廃物を体外に排出する行為のことで、腎が老廃物を濾過するなどして作り出す尿を、尿意に応じて適切に排出する排尿行為と、食物や飲料を口から摂取して、消化器官で消化吸収が行われた後の残滓や老廃物によって出来ている便を、便意に応じて適切に体外へと排出する排便行為となります。

排泄機能は、運動機能、知的・精神的機能、膀胱・尿道機能、直腸・肛門機能などが関連しているために、様々な心身機能の生理的老化が、排泄機能に影響を及ぼしています。排泄機能の低下は、心身機能に負のフィードバックを行うこととなり、日常生活全体に大きな影響が現れることになります。

排泄機能のうち排尿機能の変化は、生理的老化による腎臓機能の低下に加えて、筋力低下や神経機能低下などの変化が生理的老化として膀胱・尿道機能に現れることで、尿失禁、尿漏れ、頻尿、残尿、排泄困難などの排泄障害が引き起こされことになります。

排泄機能のうち排便機能の変化は、生理的老化は小腸・大腸には他の臓器に比べると少ないと言われているmのの、腸管の自律神経線維が変性することにより、腸管の蠕動運度の低下に伴う食物の腸管通過の遷延や腸液分泌量の低下によって、便の硬化が生じやすくなります。さらに、飲水量の減少や薬剤の副作用、運動量の低下などによって、便秘が引き起こされる可能性が高くなります。

また、食欲減退で食事量の低下により腸への刺激が少なくなり、腸管の運動も悪くなることに加えて、生理的老化によって、便が直腸に溜まった事を感知する機能の低下や、腹筋と横隔膜の収縮力の低下に伴って腹圧がかけにくくなる事から、便の排出が難しくなってしまうことになります。

排泄機能の変化は、生理的老化・病的老化のいずれによるものであっても、ADLだけでなくIADLにも大きな影響を及ぼします。排泄機能の変化への対応は、心身の状況や日常生活習慣、生活環境などに配慮し、安全・安心して排泄行為が行えるような取り組みが必要と考えられます。

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