加齢に伴う生理的老化による心身の機能の変化には、ホメオスタシス保持能力の低下や予備能力の低下が大きく影響しています。ホメオスタシス保持能力や予備能力の低下は、内分泌代謝機能が大きく影響していると考えられます。
内分泌代謝機能を持つ臓器や器官は、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質、副腎髄質、卵巣、睾丸、膵内分泌、胃・腸、心臓・血管、脂肪、神経系などで、ほぼ全身で何らかのホルモンを生成し分泌しています。
ホルモンの種類は、およそ100種類で、生体内情報物質とも呼ばれています。ホルモンは、化学構造によって大きく三種類に分類されます。
◆アミノ酸誘導体:甲状腺ホルモン、ドーパミン、アドレナリン、セロトニン、メラトニンなど
◆ステロイド:副腎皮質ホルモン、性腺ホルモン、ビタミンDなど
◆ペプチド:副甲状腺ホルモン、カルシトニン、成長ホルモン(GH)、インスリン、ソマトメジン、サイトカインなど
加齢に伴う生理的老化により、内分泌代謝機能が変化し、ホルモン分泌に変化が生じることで、筋肉量の減少や筋力の低下、体脂肪の増加、認知機能の低下などの全身の加齢変化や骨粗鬆症、認知症、動脈硬化性疾患という病的老化による疾患も生じると考えられています。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモンなどの個体の生命維持に必須となるホルモンの分泌については、生理的老化は比較的少いと考えられています。アミノ酸誘導体のドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、コリンなどは減少すると言われています。
脳や身体のメンテナンスを行うと考えられるホルモンであるGH(成長ホルモン)は、徐波睡眠中に下垂体から分泌が行われます。加齢に伴う睡眠・覚醒リズムの変化によって、徐波睡眠の減少が生じることで、GH分泌の低下が生じます。GH分泌の低下は、GHRHの低下を引き起こして、身体活動の低下や、脂肪量の増加を来すと考えられています。
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