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睡眠機能と体内時計の変化で睡眠効率が悪くなり健康の維持が難しくなります

睡眠は、脳と身体の休息とメンテナンスを行う時で、身体は睡眠を取らなくても休む事が出来ますが、脳は睡眠以外に休息する方法はありません。

加齢に伴う生理的老化によって、就床時刻、起床時刻が前倒しになり、臥床時間が長くなるにもかかわらず、睡眠時間は短くなります。臥床時間に比べた睡眠時間の比率を示す睡眠効率が減少してしまいます。

睡眠のうち、ノンレム睡眠中は副交感神経系の活動が活発になって、心拍、血圧、呼吸などの活動が低下し、成長ホルモンなどの回復、成長に必要な物質や免疫活性物質の分泌が行われ、休息と回復、成長と成熟が行われることになります。

加齢に伴う生理的老化によって、全睡眠のうちノンレム睡眠が減少して行きます。ノンレム睡眠のうちで、特に脳の休息と身体のメンテナンスを行う、深い眠りである徐波睡眠期(Stage3+4)が減少してしまうことから、日中の眠気や疲労感が生じたり、体調の改善が困難になったり、体調不良を訴えるようになります。

睡眠は、ヒトの体温が一日のうちで変動する中では、高体温期から最低体温に向かう過程で生じます。睡眠は、体温の降下勾配が大きいほど入眠過程が円滑に進み、ノンレム睡眠の徐波睡眠期までの到達時間も短く安定した睡眠の経過をたどることが出来ます。

加齢に伴う生理的老化によって、体温の変動の幅が小さくなり、最低体温も若年者に比べると高くなり、睡眠中の体温低下も少なくなり、最低体温となる時間が前倒しになります。体温の変化と合わせるように、ノンレム睡眠や徐波睡眠期が減少し、浅眠傾向や中途覚醒、入眠時間や起床時間の前倒しが見られるようになります。

睡眠・覚醒をコントロールする体内時計の中枢は、視床下部の視交叉上核にあります。加齢に伴う生理的老化によって、視交叉上核は変性して、容積や神経細胞数が減少することから、体内時計がコントロールする睡眠ホルモンと言われているメラトニンの分泌リズムや、深部体温の変化のリズムが変化してしまうことに加えて、体内時計の光に対する感受性が低下して行きます。

体内時計の働きが変化することによって、若年者に比べると、睡眠・覚醒リズムや深部体温、メラトニン血中濃度のリズムが1~2時間程度前進して早い時刻にずれることになります。睡眠と覚醒によって形作られている概日リズムの前進のために、早朝覚醒や日中、夕刻の眠気、居眠りが生じることになり、睡眠・覚醒リズムが乱れやすくなってしまします。

加齢に伴う生活環境の変化は、運動量の低下や外出の機会が減少するなどによって太陽光に曝される、曝露される機会も減る。日中の太陽光への曝露が減少する事は、メラトニンを産生するために必要となるセロトニンの分泌が十分に行われなくなり、そのために夜間のメラトニン分泌が低下して、睡眠が不足することになります。

高齢者は、眠りが浅くなった分だけ長く眠る事で補おうと行動しますが、睡眠効率が悪いために、入眠に時間がかかり、睡眠中断や早朝覚醒があることから、結果的には総睡眠時間が短くなってしまうと考えられます。夜間の睡眠が不十分となり、日中の不活発な生活により午睡をし、それがさらに夜間の睡眠を妨げるという悪循環を来すことになってしまいます。

日常生活の生活環境を見直して、良い睡眠への生活習慣を得ることで、メラトニンの分泌量が上昇して、夜間の睡眠が改善され、睡眠時間が延長されることによって、若年者だけでなく高齢者でも睡眠効率が上昇することが可能となります。

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