加齢による視覚機能の変化のうちで、視力の矯正が困難になる原因が、加齢に伴う生理的老化による水晶体の透過率の減少、瞳孔の縮小が生じる老人性縮瞳、視細胞の減少や、視神経などの中枢神経に至る神経経路の機能に問題が生じることによると考えられており、視覚機能は生理的老化によって低下すると考える事が出来ます。
視覚機能の変化では、老人性白内障、加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症や緑内障などの、加齢に伴う病的老化がかかわる疾患によって、視力障害を引き起こすことがあります。
老人性白内障は、水晶体が白濁してしまい、視力の低下と羞明という乱反射のようなまぶしさを感じる症状が見られます。
加齢黄斑変性症は、網膜の中心部にある黄斑部に新しい血管が出来てしまい、網膜下や硝子体に出血を起こし、視力の低下や失明に至る場合があります。
糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併疾患(糖尿病腎症・神経症・網膜症)のひとつで、わが国での成人の失明原因の第一位となっています。
緑内障は、眼圧の上昇により圧迫された視神経が萎縮して、視力の低下や視野の障害が生じます。わが国の失明原因の第一位であり、40歳以上の有病率は5%であるという調査結果が出ています。
視覚機能の変化のうちで、色覚については、老人性縮瞳のために網膜に到達する光の量が少なくなってしまい、色は全体的に明度・彩度が下がって見えます。さらに、老人性白内障の進行が加わることによって、網膜に到達する光量の低下だけでなく、水晶体が黄変するために、青や緑の感度が低下することになり、青色や緑色の明度・彩度が著しく低くなります。特に黒地に青文字は見えにくくなってしまいます。
視覚機能の変化には、加齢による生理的老化によって、眼の水晶体囊の弾性低下、毛様体筋の作用の低下、水晶体の硬化が原因となり、眼の調節能力が低下して老視(老眼)が引き起こされます。また、乱視も生理的老化による眼筋の筋力低下によって、角膜や水晶体のゆがみをコントロール出来なくなって生じます。
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