「人生には3つの坂がある。のぼりざか。くだりざか。まさか。」と言われています。人生を眺めてみると、上り坂があったり、下り坂があったり、まさかと思うようなことが確かにあります。成長や老化も同様なものではないかと思われます。
成長をする過程は、概ね上り坂となっていて、上り勾配が大きくなったり、小さくなったり、平坦になることや、疾病や環境などが負の要因となれば、下り坂になることもあります。老化の過程は、概ね下り坂となっていて、下り勾配が小さくなったり、大きくなったり、平坦になることがあります。疾病・障害や事故、環境などが大きなダメージを負わせることになれば、まさかという事態が生じることになると考えられます。
人生は、坂道を上るようなものというだけでなく、坂道を上り下りするようなものと言えます。
発達は、ヒトが命を授かってから死に至るまでの過程で、時間を単位とした物差しと考えることが出来ます。成長は、発達の上り坂で命を授かってから成熟点までの過程であり、老化は、発達の下り坂で成熟点から死に至るまでの過程とも考える事が出来ます。
ヒトの成長や老化は、誰にでも起こるものであり、ヒトそれぞれの遺伝因子と環境因子が関連し合って働く事にによって、個別性の高い過程をたどります。ヒトの成長や老化は、進めることは出来はしても、生きている限り誰にも止めることは出来ないものであります。
成長を進めることは、成熟点を早めることになり、機能によっては老化を早めることになるかも知れません。老化を遅らせることは、機能の停止や消滅を遅らせることになりますが、ひとつの機能だけを遅らせたとしても、ヒトのからだは多くの機能が包括的に関連し合っていることから、老化を遅らせることは対症的な対応に過ぎないと思われます。
老化を遅らせることは、加齢ということを考えるととても難しいことでありますが、からだの機能が包括的に関連し合って、健康を維持していることに着目すると、身体のメンテナンスを行う睡眠が、健康の維持には欠かせないものであることがわかります。
「寝る子は育つ」と言われるように、睡眠の質は成長に欠かせない、成長ホルモンの分泌に影響を及ぼします。成長ホルモンは、成長期以降は身体のメンテナンス(疲労回復、脂肪の燃焼、病気への抵抗力、肌や筋肉など、体組織の修復・再生など)を主に行っており、健康の維持だけでなく、老化を防ぐ働きも担っています。
老化予防には、快眠、快食、快通を心がけることと、そのための生活環境、生活習慣の実践が必要と思われます。