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加齢と老化とは違う概念であることを知っておきましょう

一般的には≪加齢≫と≪老化≫とは、同じ意味で用いられています。世間では、≪加齢≫と≪老化≫は、英語の≪aging≫の意味で用いられていると考えられます。

大辞林(三省堂)では、≪加齢≫を、「生物が成長・分化・形態の形成などの後に必ず受ける、時間の経過に伴う衰退の過程。エージング。」と定義しており、≪老化≫は、「生物あるいは物質の機能や性質が、時間の経過に伴って衰える現象。生物体の老年性変化、ゴム・プラスチックなどの経年劣化など。加齢。劣化。エイジング。」と定義しています。

介護職が専門職として仕事をする介護ケアにかかわる、老年医学や老年看護学などのライフサイエンス分野では、≪老化≫は【senescence(セネッセンス)】とされ、≪加齢≫は、【aging】として区別されています。≪老化≫と≪加齢≫とを区別する考え方を取り入れる事が、専門職として介護ケアの実践を行ってゆく上では必要と考えられます。

≪老化(senescence)≫とは、「成熟期以降、加齢ともに各臓器の機能あるいはそれらを統合する機能が低下し、個体の恒常性を維持することが不可能となり、ついには死に至る過程」(老年医学の基礎と臨床Ⅰ・株式会社 ワールドプランニング)と定義されています。

≪加齢(Aging)≫とは、「生後から時間経過とともに個体に起こる、よいことも悪いことも含めたすべての過程、現象を指す」と定義されています。

≪老化≫は、成熟期以降の≪加齢≫に伴って、ヒトの機能が低下するために現れるすべての現象と考えられます。老化の程度や進行には、遺伝要因や環境要因が影響していると考えられています。

≪老化≫は、【生理的老化(pysiological aging)】と【病的老化(pathological aging】とに分けられます。【生理的老化】は、加齢に伴う生理的な機能低下であり、程度の差や進行の度合いには差が見られるものの、ヒトは誰も避ける事の出来ない非可逆的な現象であります。【病的老化】は、生理的老化が基となり、遺伝因子、環境因子が関与して、生理的老化が加速されて、病的な状態(疾病)になる現象であります。

【生理的老化】は、程度や進行には個体差が見られるものの、誰にでも起きる非可逆的な現象であり、【病的老化】は、遺伝因子や環境因子などの影響もあり、誰にでも起きるとは限らない可逆的な現象であることを、≪加齢≫と≪老化≫との概念の違いとあわせて知っておかなくてはなりません。



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