介護ケアの現場だけでなく、報連相によるコミュニケーションの促進が図れないと言われています。報連相を行うためには、むしろ送り手側よりも受け手側の態度や能力などに問題があることが多いと考えられます。送り手が報連相を行う必要性を感じていても、受け手にそのための適切な態度や能力、知識などが無ければ、いくら受け手から行えと言われても、送り手が報連相を行えないのは無理も無いことだと思われます。
報連相は、リスクマネジメントのためのコミュニケーション作法として、情報を送る側にとって自分の身を守る重要な方法になり得ると考えられます。
介護職が介護ケアのサービス・支援の提供を実施した際に、利用者との間でインシデントやアクシデントが生じる場合があります。介護職が経験したハザードによるリスクがインシデントとなれば、ヒヤリハットとして報告をすることで済ますことが出来ます。ヒヤリハットについて、業務規定で義務となっていなければ、ヒヤリハットの報告を行わなくとも、その時には特別な問題になることはありません。
介護職が経験したハザードによるリスクが、他の職員ではアクシデントとなってしまったり、自らが同じハザードによるリスクがアクシデントとなってしまうことがあり得ます。ヒヤリハットの報告を怠ったことが、アクシデントを引き起こしたことにも成りかねず、介護職個人の問題としてだけでなく、組織全体の問題になることもあります。
介護職が所属する介護サービス事業所が、リスクマネジメントに対して、どのような考えを持っていて、報連相に対してどのような態度を持つかにも依りますが、ハインリッヒの法則が示しているように、インシデントを軽視せず、アクシデントの未然防止につなげるためにも、報連相の作法に基づいたコミュニケーションは、組織としては必須の事であります。
介護職の身に、万一、インシデントがくり返し生じるようなことがあったり、アクシデントが起きてしまうことは十分にあり得ます。その時に、報連相が適切に行われる、行われていることによって、介護職が負うリスクの軽減と分散を図る事が可能になると考えられます。報連相を行うことは、リスクマネジメントとして、介護職にとって有効な方策となります。