介護職が介護ケアのサービス・支援の提供を行うのは、介護職が利用者との間で介護ケアの提供について契約を行っているのではなく、介護サービス事業者と利用者が契約を行い、介護サービス事業者と雇用契約を結んでいる介護職が、介護サービス事業者に代わって介護ケアの提供を行っていることになります。
介護職は、介護ケアのサービス・支援の提供を実施した場合には、雇用主である介護サービス事業者に対して、雇用契約に基づいて介護サービス事業者の代理として、介護職が実施した介護ケアについて、報告の義務を負うことになります。
介護職が介護ケアのサービス・支援の提供を実施した際に、利用者からデマンドやニーズが示されたり、利用者との間でインシデントやアクシデントが生じる場合があります。介護職は、利用者との間で生じた事柄について、介護サービス事業者の代理として委任されている事項以外の判断は基本的に行えません。介護ケアの提供について、利用者との間で契約上の責任を負う介護サービス事業者(サービス提供責任者)に、介護職は連絡・相談を行う義務を負います。
介護ケアを行う介護職は、利用者に対して介護ケアのサービス・支援の提供を、介護職が独りだけで行っているわけではありません。利用者にかかわるすべての人が、介護ケアのケアチームとして、協働して介護ケアの目標となるケアプランの達成を目指して、介護ケアのサービス・支援の提供を行っています。
介護職は、介護ケアのサービス・支援の提供を実施した場合には、介護サービス事業者に介護ケアの実施についての報告を行うだけでなく、ケアマネジメントとしてケアプランを作成したケアマネージャーや、ケアチームとして協働して、介護ケアのサービス・支援の提供を行っているケアチームのメンバーへの報告の義務も負っていると考えられます。
ケアマネージャーやケアチームのメンバーも、利用者にとって大切な社会資源のひとつであることを認識することで、利用者からのデマンドやニーズ、利用者との間のインシデントやアクシデントについて、義務的な報告を行うだけでなく、利用者や介護職の状況に応じて連絡や相談を行うことで、より適切な対応や連携、協働が行われることが可能になると考えられます。
報連相は、利用者をとりまくすべての人に対して、必要となるものであります。報連相を有効に活用するためには、介護職と雇用主である介護サービス事業者(サービス提供責任者)やケアチームのメンバーとのコミュニケーションが図られていることが重要と考えられます。介護職は、日頃から職場やケアチームのメンバーとの間で、相手を知ることや自分を知ってもらうことのために、コミュニケーションを行ってゆく事で、相手を知り、自分を知ってもらうことで、報連相が行いやすくなる関係作りに取り組むことが必要となります。