記録は、基本的には客観的事実と所見が記されているものであり、記録者以外が読んでも理解が出来るものでなくてはなりません。医師の記録であるカルテ(診療記録)は、患者に読まれないために、ドイツ語で記載して、かつ読みにくいように書かれていたという話しがありました。医師は、「嘘はついてはならないが、本当のことをすべて伝える必要はない」という考えもあることから、カルテには疾患名や病状など、患者には伝えることが適切で無いと判断されることも記載しなくてはならず、そのような話しが出たのでしょう。
介護職が作成する記録類には、医師と同じように利用者に伝えることが適切で無いと判断されることも記載しなくてはならない場合もあります。介護ケアは、チームケアで行われていることや、定期的な担当者変更もあることを心がけながら、介護ケアの記録類は作成されなくてはなりません。
文章力や文字の巧拙は、誰にでもあることです。手書きで記録を作成する場合には、まず、誰にでも読みやすい文字で記載する事に努める必要があります。一文字、一文字丁寧に時間をかけて書く必要はありませんが、自分が後で読んで読めるだけでなく、余りにも文字としての形態が崩れていたり、達筆過ぎても読む気にならなければ、記録としての役割が果たせなくなりますので、誰が読んでも読める程度の明瞭さの文字を書く必要はあると思います。
パソコンで記録類を作成する場合も多くなってきたと思われますが、記録としての正確性や的確性が疑われるような誤変換や文章表現に注意しなくてはなりません。利用者が異なるにもかかわらず、同じ表現が使い回されるなどという事は避けなくてはなりません。当然のことではありますが、利用者によって心身の状況は異なり、介護ケアのサービス・支援の提供も異なることになりますので、利用者ごとの記録がどれを見ても金太郎飴のようになることはあり得ません。
記録を作成する基本となるものは、文章力や文字の巧拙ではなく、誰にとっても読みやすく、判りやすい記録を作成することを心がけることであります。