介護職が介護ケアの提供を行う場面や介護ケアを行うに当たって、利用者や家族とのコミュニケーションの中で、介護ケアに対する要求や要望などが示されることがあります。これら利用者や家族から示される介護ケアに対する要求や要望は、ケアマネジメントのアセスメントによって得られたニーズと必ずしも一致するものとは限りません。
ケアマネジメントのアセスメントによって得られたニーズに対して、利用者や家族から示された介護ケアに対する要求や要望はデマンドと言われます。ニーズとデマンドは、同じ要求という意味を持ちますが、ニーズ(needs)は、要求として「必要なこと」を意味し、デマンド(demand)は、要求として「望むこと」を意味します。
ニーズとデマンドとは区別して扱われ、アセスメントによって得られたニーズの中にはデマンドは含まれませんが、利用者や家族のデマンドの中にはニーズとなるものが含まれる場合があります。
介護ケアを提供するためのケアマネジメントでは、アセスメントによって得られたニーズの解消、改善のために、ケアプランの作成を行います。ケアプラン作成の際には、アセスメントによるニーズだけでなく、可能な限り利用者や家族のデマンドの中に含まれているニーズに値するものをすくい上げることが求められています。
介護職は、介護ケアの提供を行いながら、利用者や家族とのコミュニケーションを図って行くことになります。介護ケアの専門職として、利用者や家族とのコミュニケーションの中で示される数多くのデマンドを受け止めながら、デマンドの中からニーズとなるものを選択して、アセスメントによるニーズと突合することによって、ケアプランに取り込むことを検討することになります。
デマンドの中からニーズを抽出してケアプランに組み込むことにより、利用者や家族のデマンドを満たしながらも利用者のニーズをも解消、改善して行くことが、介護保険制度のケアマネジメントとして強く求められています。