介護職が利用者や家族との間に信頼関係が作られるには、コミュニケーションを図る前に、まず、介護職が利用者に提供する介護ケアが、利用者や家族にとってふさわしいものであることが必要であります。介護ケアの提供は、ケアマネジメントのアセスメントで確認された利用者のニーズに基づいて、ケアプランが作成されて実施されます。
ケアマネジメントのアセスメントで確認された利用者のニーズに基づいて計画された介護ケアの提供は、必ずしも利用者や家族が求める介護ケアと一致するとは限りません。ケアマネジメントでは、サービス担当者会議を行うことで、ケアマネージャーと介護ケアの提供事業者、利用者、家族が、アセスメントに基づくケアプランの検討を行い、利用者の持つニーズの理解と共有を行った上で、介護ケアのサービス・支援の提供と協働を決定します。
介護ケアの提供を行う事により、利用者のニーズの解消、改善が図られることによって、利用者や家族からの信頼関係が形成される素となります。さらに、利用者や家族との信頼関係を深め安定を図るためには、利用者の状況に応じたアセスメントとケアプランの作成や修正が適宜行われた上で、介護ケアの提供が行われるというPDCAサイクルの実践が求められます。
介護職が利用者や家族との間で信頼関係を作るには、利用者のニーズの解消、改善を介護ケアの実践により図ることが第一となりますが、より良い信頼関係を作りラポールの形成を図るには、コミュニケーションは欠かせないものとなります。
介護職と介護ケアの利用者や家族との信頼関係は、介護ケアの専門家としての介護職との間で形成される信頼関係とラポールとなります。信頼関係は、常に密接なかかわりを持つ事だけで得られるものではなく、それぞれの立場や役割に応じたスタンスを保ちながら、適切な距離感や頻度を取ることで、利用者や家族との間に信頼関係を形成し、さらにラポールへと関係性を深めてゆくことになります。
介護職と利用者や家族との間で、ラポールが形成されることは、密接なかかわりが行われなくとも、いつもそこに在る、そこに居るという感覚を利用者や家族が得ることになり、利用者や家族に添った介護ケアのサービス・支援の提供につながることになると考えられます。