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家族とのコミュニケーションで利用者の老化への想いを知ることは大切です

利用者の家族と介護職とは、同居家族であれば介護ケアのサービス・支援の提供と直接・間接的なかかわりが生じ、別居家族であれば間接的なかかわりが生じてくることになります。家族と介護職との関係は、いずれにしても利用者を介して作られるものであり、利用者と家族との関係が色濃く反映されるものとなります。

利用者と家族との関係は、同居家族であれ別居家族であれ、介護保険制度の介護ケアのサービス・支援の提供を受けるまでには、長い家族の歴史がそれぞれにあった上で、それぞれの生活歴が織りなして作られて来たものであり、ことばや文字による言語コミュニケーションだけでは、とても知る事が出来ないものであると考えられます。

利用者の老い(老化)を、同居家族でも正しく認知して、利用者にとって住み慣れた環境で能力に応じた自律した生活を、介護ケアのサービス・支援の提供を受けながら送ることを目指すことは、かなり難しいと思われます。ましてや別居家族の場合や別居から同居に移った家族の場合には、介護ケアを提供する専門職以上に、利用者の老い(老化)を認知して、利用者の老いと向き合い、老いと付き合うことは難しいと考えられます。

家族のことは家族にしかわからない、確かに真実ではありますが、利用者とその家族との間では、家族だから故に、利用者のこと(老い)がわからないという事実もあります。介護保険制度は、社会全体で高齢者を支えて行くという立て前によって始まりました。社会全体で高齢者を支えて行くという仕組みや取り組みによって、利用者と家族が利用者の老いと向き合い、老いと付き合うことが出来るようになり、住み慣れた環境で能力に応じた自律した生活が送られるようには未だ成ってはおらず、数々の不幸な事件が繰り返されているのが現実であります。

介護職は、利用者の家族と直接に面接をすることで、利用者の家族が持つ利用者との関係性を、その時の言語・非言語コミュニケーションによって、ある程度は知る事が出来ます。利用者と家族との間の、表には出てこない家族にしかわからない関係性は、介護ケアのサービス・支援を行って行く中で、利用者とのかかわりによって、利用者の家族からの非言語コミュニケーションとして、介護職は受け取ることになると考えられます。

家族が持つ利用者に対する関係性(感情)は、家族関係という長い時間の上で形作られて来たものであるために、なかなか新たなものへと転回することは困難であると思われます。介護ケアを必要とする利用者は、ヒトは「4⇒3⇒2⇒3⇒4」と一生を過ごして行くと言われ、「4⇒3⇒2」と辿ってきた壮年期までとは、「2⇒3⇒4」となってゆく高齢期にあり、老化によって総てが変わらざるを得ないことを知る必要があると思われます。

利用者の老化によって、利用者と家族との間の関係性も変わらざるを得ないことを理解して、高齢者の尊厳を認めながらも、利用者と家族との関係をリストラ(再構築)するために、介護ケアのサービス・支援が行われることが必要であると考えられます。



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