介護職が介護サービスの提供場面で行うコミュニケーションは、介護職がコミュニケーションの受け手となり、利用者が送り手となることが、通常の介護サービスの提供では主体となると考えられます。
介護職が受け手として行うコミュニケーションは、送り手となる利用者に対して、身体介護や生活援助の介護サービスを提供しながら、利用者が発する言葉はもちろんのこと、様々なサインを受け止めることで、利用者の心身の状況や日常生活の状態の把握などを行う事が目的となります。
介護サービスを提供しながら利用者とコミュニケーションを図ることは、限られた時間の中で決められた作業を終えることが必要なだけでなく、利用者の心身の状況や日常生活の状態の把握が、適切でかつ質の高い介護ケアを行う上で重要な行動となることから、介護職の専門性としてコミュニケーションの能力が問われることになります。
介護職が行うコミュニケーションは、利用者のコミュニケーションに対する姿勢を知ることやコミュニケーション能力、コミュニケーションの方法などを知った上で、利用者に添ったコミュニケーションを図る事が必要となります。
コミュニケーションの受け手としての介護職には、どのような態度や距離感、位置を取ったり保ったりすることが、利用者がコミュニケーションを送り手として行いやすくなるかを認知しておかなければなりません。介護職のスタンスによって、日常的な業務の中で行われるコミュニケーションによって、利用者から得られる情報には大きな差が生じることになると言えます。
コミュニケーションの受け手として介護職に必要なコミュニケーション能力は、話しを聴くという技能だけで無く、コミュニケーション場面での態度や距離感、位置などのスタンスの取り方を利用者に添って行える技能や、五感を使って利用者が送り出す様々なサインや生活環境の変化などを受け止める技能を高めてゆく事が必要と考えられます。