高齢者などが住み慣れた地域で能力に応じて自立した生活を行ってゆくには、加齢に伴う生理的・病的老化などにより介護保険のサービス・支援の提供が必要となった方には、介護ケアと医療ケアとは在宅生活が動いて行くための車の両輪と言っても過言では無いと思われます。
在宅医療・介護の連携推進の方向性(図1)に示されているとおり、一人のひとが在宅生活を送ってゆくには、数多くの医療・介護の事業所や機関が連携・協働しながら支えてゆく事が必要と考えられています。
<図1>在宅医療と在宅介護(在宅医療・介護の推進について/厚生労働省)
在宅医療・介護の連携・協働が推進と在宅医療・介護の充実が図られることにより、医療ケア、医療サービスの体系は、「施設」から「地域」へ、「医療」から「介護」への再編が考えられております。
在宅介護と在宅医療との連携・協働の強化だけでなく、介護ケアと医療ケアとの包括化、融合化が目論まれていると考えられます。要支援者の予防給付が地域支援事業へ移行することは、介護ケアが医療ケアの側にシフトして行き、医療・介護機能の再編によって、入院医療後の受け皿の一つとして組み込まれることが目論まれているように思われます。
医療・介護機能が再編されて、将来像のような仕組みとなった時(図2)に、介護ケアにかかわる職種が、医療ケアにかかわる職種のように、専門性が高く社会的にも認められた立場・役割・地位のあるものになっているか、期待したいと思いますが、これまでの介護保険制度の流れを見ると、その道のりは険しいと思われます。
介護職員は、介護専門職として介護ケアに関する知識・技能等はもちろんのこと、医療ケアに関する知識・技能もより一層に求められるようになると思われます。介護ケアも医療ケアもマンパワーが必要なものであり、さらなる人材確保と人材育成が必要な職種となってゆく事が考えられます。
<図2>在宅医療と在宅介護の将来像(在宅医療・介護の推進について/厚生労働省)