介護保険の実行者は、介護サービス事業者と事業者に所属する従事者となります。予防給付、介護給付それぞれに対応する事業所が、都道府県、市町村に認可・許可を受けて、介護保険給付のためのサービス・支援の提供を行い、利用者から1割の自己負担と保険者から介護報酬の9割を受け取ることになります。
平成24年(2012年)10月1日現在に活動中の介護保険施設・事業所の中では、居宅介護支援事業所が最も多く、35,885事業所となっています。通所介護事業所が34,107事業所、訪問介護事業所が31,075事業所と、在宅介護の中心となる事業所が圧倒的に多く活動していることがわかります。
すべての居宅サービス事業所や地域密着型サービス事業所が、介護予防サービスも行っているわけでは無いことがわかります。要介護・要支援認定の結果が、要介護から要支援へと変動した場合には、継続した介護サービスの利用が困難になる事例が生じる可能性がある事を憶えておかなければなりません。
<図1>介護サービス事業者数(出典:平成24年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント/厚生労働省)
介護サービス事業者の運営種別では、介護保険制度の目的の一つである民間活力活用が、十分に発揮できていると考えられます。通所リハビリテーションや短期入所生活介護、短期入所療養介護という設置主体に制限があるものを除けば、ほとんどの介護サービス事業所の設置主体の50%以上が営利法人(会社)となっています。
<図2>介護サービス事業者運営種別構成(除・介護保険施設)(出典:平成24年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント/厚生労働省)
<図3>介護保険施設運営種別構成(出典:平成24年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント/厚生労働省)
介護保険では、介護サービス事業者が保険給付や予防給付として、利用者に提供した介護ケアのサービス・支援に対する報酬が、介護サービス事業者に支払われる事になります。介護保険制度の意義は、社会保険として介護サービス事業者が提供する介護ケアのサービス・支援の質・量が保障される事であります。
介護保険の運営者、実行者は、介護ケアのサービス・支援の質・量ともに、維持・向上を目指す義務があります。