介護保険制度の介護サービスを利用するためには、要介護・要支援認定を受けなくてはなりません。要介護・要支援認定の申請を行い、介護認定調査、主治医意見書の作成、介護認定審査会という手続きが進んで行きます。介護認定調査と主治医意見書によるコンピューターの介護認定一次判定プログラムによる一次判定が行われ、一次判定結果と主治医意見書、介護認定調査の特記事項が資料となり、介護認定審査会が介護認定二次判定を行います。介護認定審査会の二次判定の結果に基づき、介護保険保険者は要支援1・2と要介護1~5の介護認定を決定します。
介護認定調査と介護認定審査会は、介護支援専門員が行うケアマネジメントと介護保険の要となるものであります。介護支援専門員が行うケアマネジメントは、要支援者については地域包括支援センター職員が介護予防ケアマネジメント業務を行う事になり、介護支援専門員の介護保険での役割、立場に大きな変化が生じることになりました。
介護認定調査と介護認定審査会は、介護保険開始後から3回の改定を経て、全国一律の基準による介護認定システムという立て前のもとで、現在に至っています。平成21年(2009年)4月の改定では大きな混乱を来してしまい、半年後には再改訂を行って事態の収拾を図るということもありました。
介護認定調査は、介護認定システムのコンピューターが処理する介護認定一次判定ソフトへのデータ入力のために、74項目の調査項目をチェックするものとなっています。介護認定調査の結果は、樹形モデルによる要介護認定等基準時間の推計に基づいて作成された一次判定ソフトによって、要介護認定等基準時間が算出され、基準時間に応じた要介護度が判定されます。
介護認定審査会は、1件を約2~3分という速さで審査を行わなければなりません。基本的には介護認定一次判定ソフトによる一次判定の結果に従うことになっており、審査を行わなければならない数の多さから、審査委員が予習をして審査会に臨んでいても、十分な議論を行う隙さえ与えられないというのが実際でありました。
一次判定ソフトは、「1分間タイムスタディ」で樹形モデルを作成するためのデータを収集しましたが、出来上がった一次判定ソフトをモデル事業として試行してみたところ不具合が出てしまい、急遽、本来の樹形モデルにはデータとして入ることの無い、中間評価項目を挿入することで整合性を図ったと考えられます。
一次判定ソフトに使用されている樹形モデルと中間評価項目の利用は、平成21年の改定で中間評価項目は7群から5群となりました。樹形モデルに挿入された中間評価項目は、少なくはなったとはいえ依然として存在しており、本来の樹形モデルの結果をゆがめていることには変わりが無いと考えられます。