介護保険制度がはじまるまでは、老人福祉制度、老人保健制度と2種類の高齢者への制度がありました。介護保険制度がはじまることで、老人福祉制度と老人保健制度は概ね介護保険制度に移行しました。
介護保険制度がはじまるまでの老人福祉制度は、介護保険制度への転換を強く求められた、行政による措置、申請主義、世帯単位の原則、応能負担というものでありました。
介護保険制度が始まるまでは、ホームヘルパー派遣、デイサービス、福祉用具のレンタル、訪問入浴、ショートステイなどの在宅系高齢者サービスを希望する場合には、行政(市町村)の福祉事務所など老人福祉制度担当窓口に出向いて、サービス利用の申請手続きを行い、行政が調査を行った上でサービス利用の要件を認め、サービス利用や内容の範囲を決定していました。
特別養護老人ホームへの入所を希望する場合には、在宅系高齢者サービスと同様に行政の窓口に出向いて、施設入所の申請を行い、行政が調査を行った上で、入所判定会議で入所の要件を検討します。入所判定会議で入所候補として認められた場合には、入所候補者名簿に記載されて入所の順番を待つことになりっていました。
老人保健制度のデイケア、ショートステイ、訪問看護の利用や、老人保健施設への入所しての利用、療養型医療施設への入院しての利用については、利用を希望する医療機関や施設などに申込を各々行い、利用の決定を受けることになっていました。
一人の高齢者が利用する在宅系サービスの窓口は介護保険制度が始まるまでは、老人福祉制度は行政の窓口で手続きをしなければならず、老人保健制度では個々の医療機関や施設が窓口となっており、利用者が老人福祉制度以外の在宅サービスも利用しようとする場合には、窓口が複数となり手続きが煩雑でわかりにくいものでありました。
介護保険制度が始まることで、在宅系サービスの利用については、ケアマネージャーがケアマネジメントを行う事で、サービス利用の窓口となり、利用者のニーズに添ったサービス・支援の提供を目指す事になり、手続きや仕組みもわかりやすくなったと考えられます。
施設系サービスの利用については、特別養護老人ホームの利用については、措置から契約へと転換されるとともに、希望する施設への直接の申込となりました。老人保健施設や療養型医療施設への利用については変わりがありませんでした。