認知症の症状を見抜くことが重要
みなさんは認知症と物忘れの区別ができますか。認知症も物忘れも記憶力が低下するという点では似ているので区別をすることは難しいことです。人間は年齢をかさねるごとに記憶力が低下していきますので、高齢者の物忘れは一般的なことです。しかし、認知症と物忘れは全く違います。認知症は進行性の病気ですから、できるだけ早い段階で発見することが肝心です。そこでこのコラムでは認知症かもしれないと思ったときの判断基準を皆様に紹介いたします。
時間や場所を理解できているかどうかのチェック
認知症の疑いをもった場合にまずチェックするべきポイントは「時間や場所を理解できているかどうか」です。認知症になりますと、現在の年月や時刻、自分が今どこにいるのかがわからなくなります。ふつうの物忘れのケースでも時刻や場所を把握できなくなる場合がありますが、ある程度の時刻や場所は認識できています。しかし、認知症の場合では今の時間や場所が全くわからなくなります。自分がどこにいるのかわからなくなって、パニックになっている場合には認知症であると判断できます。
当たり前のことができるどうかのチェック
更に明確なチェックポイントは「当たり前の動作を思い出せるかどうか」です。人間の記憶には長期記憶とよばれる記憶があります。長期記憶とは一度習得するとなかなか忘れない記憶のことです。掃除や洗濯、料理の仕方、風呂やトイレの使い方など日常生活を送るために必要な記憶のほとんどは長期記憶です。認知症になると長期記憶に障害があらわれますので今までできていたことが、できなくなります。例えば、認知症の高齢者はトイレに入ったものの便器の使い方や水の流し方などを思い出せなくなります。これでは毎日の生活を送る上で大変困りますね。このように当たり前の動作を思い出せなくなると認知症であると判断できます。