介護職員のこころの健康は、からだの健康と同様に介護ケアのサービス・支援を提供するための基本と言って良いものであります。介護職員のこころの健康と利用者への個別性を尊重した質の高い介護ケアへの取り組みには、密接な関係があると考えられます。
こころの健康について、厚生労働省は「健康日本21(http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/top.html)」で4つの具体的な健康を示しています。こころの健康は、人のQOLに大きく影響するとしています。
<こころの健康>
①情緒的健康:自分の感情に気づいて表現できること
②知的健康:状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること
③社会的健康:他人や社会と建設的でよい関係を築けること
④人間的健康:人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること
こころの健康に影響するものは、身体状況、社会経済状況、住居や職場の環境、対人関係などがあります。身体状況(からだの健康)とこころの健康とは、同じヒトの身体で司られているもので、相互に強い関連性を持っています。
こころの健康が衰えれば気力、体力が衰えることから、身体の抵抗力が低下して感染症やアレルギーなどの疾患にかかりやすくなるだけでなく、ヒヤリハットを起こしたり重大な事故につながる身体の不調や心身共に不安定な状況になる事があります。
こころの健康にもからだの健康と同様に、一番に必要なのは脳の休息を十分に得るための質の高い睡眠です。睡眠に加えて、バランスのとれた栄養を摂るための3回の食事や、規則正しい日常生活、日常的な運動もこころの健康には必要となります。
「健康日本21」では、こころの健康を保つための生活に必要なものは、①休養、②ストレス対応、③睡眠対策としています。
休養は、心身の疲労を回復するだけでなく、新たな意欲を引き出すことにもなります。長期間の休養だけで無く、日々の睡眠を摂ることによるこころとからだのメンテナンス、仕事の合間の気分転換もこころの休養となります。
ストレスの対応は、ストレスが高まればこころの健康だけでなく、からだの健康にも影響を及ぼし、疾病や事故の原因にもなり、介護職員の場合には、介護ケアの質にも大きく影響するものであります。
睡眠対策は、こころとからだのメンテナンス時間である睡眠の確保と質を高めることで、休養とストレス対応が図られることになります。
介護職員にとって、からだの健康と同様にこころの健康を維持・増進するためには、日常的に質の高い睡眠を摂るための工夫が必要となります。