訪問介護サービスで訪問介護員が行う家事援助の調理については、利用者の食生活に対してのQOLを向上させることは勿論ですが、誤った調理方法や誤った食品の保存、取り扱いから病原性微生物などによる食中毒のリスクがあります。何よりも病原性微生物による食中毒予防のための取り組みが重要となります。
食中毒の予防の取り組みには、食中毒の原因となる病原性微生物を「つけない」、「増やさない」、「やっつける」という3つの原則があります。
<食中毒の予防三原則>
Ⅰ.病原性微生物を「つけない」
①日常的手洗い
◎調理を始める前
◎生の肉や魚、卵を取り扱う前後
◎調理の途中で、トイレに行ったり、鼻をかんだりした後
◎おむつを交換したり、動物に触れたりした後
◎食卓につく前
◎残った食品を扱う前
②食材を十分に洗浄する
③手に傷や手荒れがある場合には手袋を着用し、食品には直接さわらない
⑤包丁、まな板、ふきんなどの洗浄・乾燥
⑥生鮮食品を扱った後のまな板や包丁は熱湯消毒
⑦加熱しないで食べるものを先に扱う
⑧生の食品と調理済みの食品とは別の箸でつかむ
⑨食材の保管は、密閉容器かラップを使用する
Ⅱ.病原性微生物を「増やさない」
①肉や野菜などの生鮮食品や総菜、冷凍食品は、購入後出来るだけ早くに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
②冷蔵庫や冷凍庫を過信せず早めに食べる
③調理は短時間で手際よく行う
④調理後は速やかに食べる(2時間以内)
⑤加熱調理済みの食品は冷まして保存する
Ⅲ.病原性微生物を「やっつける」
①食品は十分に加熱する。再加熱の場合も沸騰するまで十分に行う。中心温度が75℃、1分以上。ノロウイルスには、85℃1分以上
②冷凍食品や挽肉などは、内部に熱が十分に行き渡るように加熱する
③野菜も加熱して食べると安全
④ふきんやまな板、包丁などの調理器具は、洗剤で洗浄し良く乾燥させる
⑤台所用の殺菌剤を使用してやっつける
<図1>出典:ホームヘルパーのための感染症ハンドブック/茨城県感染症情報センター
介護職員が「一ケア一手洗い」の原則やスタンダード・プリコーション、食中毒予防の三原則を励行することは、利用者への病原性微生物の感染予防とQOLの維持・向上が図られ、利用者を主体とした質の高い介護ケアの提供につながることになります。
<参考>
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント/厚生労働省
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html