医療的ケアとは、本来であれば医療の専門職である看護職の仕事とされる医療行為と区別して、在宅で家族が行っている日常的・応急的医療行為である医療補助行為を意味します。
医療行為(医行為は法律用語)とは、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」を行うことを意味し、医師または看護師(医師の指示の範囲の医療行為が可能)以外は行えない行為を意味します。
医療的ケアのニーズがある疾患や障害を持つ方が、在宅での療養生活を行う事が多くなることで、介護ケアのサービス・支援の利用者に、医療的ケアのニーズを持つ方が多くなって来ました。訪問介護サービスの訪問介護員に対して、利用者・家族や医療職者が医療行為と見なされる可能性ケアを行う事が困難な場合に、利用者・家族からだけでなく、医師や看護師などの医療職者からも医療的ケアを求められる事が起きるようになりました。
医療的ケアに対するニーズの変化により制度の見直しや整備が行われ、家族や医師、看護師以外にも医療的ケアを行う事が可能となりました。介護職員は、喀痰吸引と経管栄養について、研修を行った上で認定を受けることでケアが出来ることになりました。
喀痰吸引と経管栄養以外の日常的・応急的医療行為については、厚生労働省が「原則として医行為でないと考えられる行為」という通知を出しています。厚生労働省の通知によ介護職員は、一定の条件と医療職者との協働や指導・監督のもとで、医行為でないと考えられる行為も医療的ケアとして、利用者に対して行う事が出来るようになりました。
医療的ケアのニーズがある利用者は、加齢に伴う生理的老化だけでなく病的老化、慢性疾患や障害などのために、免疫力が衰えており、病原性微生物に対する抵抗力が低くなっています。介護職員は、医療的ケアの提供については、利用者からの感染予防と利用者への感染予防を心がけなくてはなりません。
介護職員は、医療的ケアの提供では、スタンダード・プリコーションに加えて、医療的ケアに伴って病原性微生物に感染するリスクに対する経路別の対策を、「持ち込まない」、「持ち出さない」、「拡げない」ためにも確実に励行する必要があります。