身体の保清ケアは、利用者の心身の状態に合わせて、入浴、シャワー浴、部分浴、清拭を行ったり、洗髪・整髪、陰部の保清、鼻・耳・目の保清などを行います。身体の各部分に保清ケアを行う事で、皮膚や粘膜の生理機能を維持したり促進することが期待できます。皮膚や粘膜の生理機能だけでなく、心身の機能全体の促進や改善が図られQOLを高めることにもなります。
高齢者など介護ケアのニーズが高い人々では、免疫力や体力が低下している場合が多く、保清ケアの提供についてアセスメントを行って、利用者個々の心身の状況に応じたサービス・支援の提供が必要となります。
身体の保清ケアは、利用者の皮膚や粘膜を清潔にすることで、皮膚や粘膜に付着している病原性微生物を取り除いたり、皮膚や粘膜への病原性微生物の感染を、生理機能の維持や促進によって、防御することが可能になると考えられます。
介護職員は、保清ケアを行う際に、利用者の皮膚と接触する事になるので、接触感染が起きる可能性がとても高くなります。保清ケアのサービス・支援の提供では、スタンダード・プリコーションに加えて、接触感染の予防対策を行う必要があります。
<保清ケアで注意が必要な感染症>
①疥癬:皮膚に棲息しているヒゼンダニ
②白癬菌(水虫):足、手、頭などに棲息している白癬菌
③シラミ症:頭ジラミ、毛ジラミ、コロモジラミ
④褥瘡:MRSA、緑膿菌感染症など
保清ケアの前後には、日常的手洗いを行うだけでなく、上腕部分まで洗うことが必要です。脱いだ衣類やシーツは、ダニやシラミが付着している危険性があるため抱きかかえたり、埃を立てないようにしなくてはなりません。利用者が使用した浴槽、洗面器やタオルなどは洗浄後は良く乾燥させる事が肝腎です。
介護職員は、利用者の生活習慣を知った上で、利用者の尊厳を支えながら、利用者の健康維持や感染症予防のための、保清ケアの提供を行うことが求められます。