感染性胃腸炎は、ノロウィルスをはじめとしたロタウィルス、サポウィルス、アデノウイルスなどの病原性微生物への感染により発症する胃腸炎の事です。ノロウィルスが原因となる場合には、感染力が強く少量のウィルス(100個以下)でも感染する可能性があり、集団生活を行う学校や社会福祉施設などで流行することがしばしば見られます。
ノロウィルスは汚染されたカキなどの二枚貝を、生食あるいは不十分な加熱処理で食べた場合に感染します。ノロウィルスは調理の際に、85℃以上1分間の加熱を行うと感染性がなくなるとされています。ノロウィルスの感染は、二枚貝による感染よりもヒト-ヒト感染が流行の原因となっています。
ノロウィルスの感染経路は、ウィルスに感染した食品取扱者の手指などを介して、汚染された食品を食べた場合や感染者の吐物や便などを扱った手指などで取り扱った食品などを介しての経口感染が多く見られ、施設や家庭の手すり、ドアノブ、水道の蛇口、テーブル、取っ手などの手に触れる場所からの接触感染、吐物の処理時や介護中の嘔吐による飛沫感染の可能性もあります。
ノロウィルスの潜伏期は、1~2日です。主な症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、37℃台の発熱が見られます。症状が続く期間は1~2日と短期間ですが、特別な治療法が無い事から安静と水分補給により症状の軽快を待つことになります。高齢者の場合には脱水症状を起こしたり、吐物による誤嚥性肺炎が生じる可能性がある事から、医療機関への受診が必要となる場合があります。
ノロウィルスの予防には、ノロウィルスはアルコールによる消毒効果が弱いため、日常的手洗いを「1ケア1手洗い」、「ケア前後の手洗い」の原則に沿って行う事が必要となります。調理器具や食器類の消毒・殺菌には、熱湯消毒か次亜塩素酸ナトリウムの使用が効果的です。
ノロウィルスなどの感染性胃腸炎の発生が確認されたら、スタンダード・プリコーションはもちろん、接触感染や飛沫感染の予防対策を行う事になります。
<図1>(出典:ホームヘルパーのための感染症ハンドブック/茨城県感染症情報センター)
<参考>
社会福祉施設等におけるノロウィルス対応標準マニュアル/東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/noro/manual.html