水虫は、白癬菌というカビの一種が皮膚に棲み着いてしまい、増殖することで発症する皮膚疾患です。白癬菌は、皮膚のタンパク質「ケラチン」を栄養として生き続けます。水虫は、白癬菌に感染した皮膚から剥がれ落ちた角質(鱗屑)を素足で踏むなどすることで、皮膚に白癬菌が付着して増殖しやすい、高温多湿の環境や弱アルカリ性の皮膚環境の場所に定着することで感染が成立します。
水虫に感染するには、白癬菌が皮膚に付着してから約1日かかると考えられており、白癬菌に接触する可能性がある場合には、速やかに接触部位を洗い清潔に保つことを心がけたり、毎晩の入浴で足や身体を清潔にして皮膚を弱酸性に保つことで、水虫の感染が予防できます。
白癬菌による皮膚疾患は、①足の水虫(足白癬)、②爪の水虫(爪白癬)、③手の水虫(手白癬)、④いんきんたむし(頑癬)、⑤ぜにたむし(体部白癬)、⑥しらくも(頭部白癬)があります。
それぞれの疾患部位や症状によって治療法が異なりますので、②、⑥の疾患の場合は、一般の水虫の薬では効果が見られないとされており、皮膚科を受診する必要があります。②、⑥以外の疾患についても、他の疾患を治療中の人や、疾患部位が広範であったり、炎症や化膿しているなどの症状がある場合には、市販の水虫薬でセルフケアを行うのでは無く、皮膚科の受診や他の疾患で治療を受けている主治医への相談などが必要と考えられます。
水虫の予防は、①家に帰ったら足を洗う習慣をつける(足の指の間まで石けんで良く洗う)、②通気性の良い靴を選び、何足かを交互に履く、③靴下を毎日取り替える、④バスマットやスリッパは共有しない、⑤1日1回は床掃除を行う、⑥通勤用と職場用に靴を使い分ける、⑦爪切りは個人個人のものを使い、足の爪用と手の爪用とは別々にするなどです。
介護職員は、水虫の予防策だけでなく、介護ケアのサービス・支援の提供場面では、日常的手洗いを「1ケア1手洗い」、「ケア前後の手洗い」の原則に沿って行う事が、介護職員自身の白癬菌への感染予防にもなります。