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疥癬は施設で発生するとパニックが起きる感染症です

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<図1>ヒゼンダニ(出典:疥癬とは/国立感染症研究所)

疥癬は、ヒゼンダニが皮膚の最外層にあたる角質層に寄生して、接触感染でヒトからヒトへ感染する疾患です。少数寄生(1000匹以下)の普通の疥癬(通常疥癬)と非常に多数の寄生(100万~200万匹)が見られるノルウェー疥癬(角化型疥癬、痂皮型疥癬)に、ヒゼンダニの寄生数の違いと症状の違いで2種類に分類されています。

普通の疥癬は、直接接触を行わなければ数時間並んで座っていても感染の心配はありません。ノルウェー疥癬は、患者の角化した皮膚や痂皮、患者から剥がれ落ちた鱗屑や痂皮には多数のヒゼンダニがいるので、強い感染力があり、施設などでは集団感染が起きる可能性があります。ノルウェー疥癬から感染した場合に、発症するのは普通の疥癬です。

普通の疥癬は、ヒゼンダニとその脱皮殻や排泄物(糞)によって感作されて、アレルギー反応として激しい痒みが生じます。高齢者やノルウェー疥癬では、痒みが見られない場合があります。

疥癬はヒトの体温よりも低い場所では動きが鈍くなり、16℃以下になるとほとんど運動しなくなります。乾燥に弱くヒトの皮膚から離れると2~3時間で死滅します。高温にも弱く50℃10分で死滅します。

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<図2>通常疥癬とノルウェー疥癬

疥癬の予防には、早期発見と適切な治療が必要となります。疥癬が疑われる場合には、速やかに皮膚科専門医へ受診を行わなくてはなりません。疥癬の発症が確認されたら、スタンダード・プリコーションに加えて、接触感染の予防対策を行う事になります。

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<図3>疥癬の利用者への主な対応(出典:ホームヘルパーのための感染症ハンドブック/茨城県感染症情報センター)

<参考>

疥癬とは/国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/jjid/392-encyclopedia/380-itch-intro.html



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