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感染症の予防にはスタンダード・プリコーションの実践が原則となります

「1ケア1手洗い」の原則に加えて必要となる感染症の予防対策は、スタンダード・プリコーションを実践することです。さらに、感染の原因となっている病原性微生物が明らかな場合は、感染経路別の予防対策を行う事になります。日常の予防対策には、感染経路別の予防対策は、特別な場合を除いて不要と考えられています。

<スタンダード・プリコーションの具体的な対応策>

スタンダード・プリコーションが感染源としているのは、血液・体液、排泄物、分泌物(膿、精液、おりもの、粘液)、嘔吐物、傷などです。

①感染源に素手で触ったら

⇒ すぐに衛生的手洗い。手の皮膚に損傷がないか確かめ、異常が見られたら医師に相談する。

②感染源の処置をする時には

⇒ 使い捨て手袋着用。処置後は、手袋を外して手洗い。

③感染源に汚染されそうな時には

⇒ 使い捨て手袋とマスク

⇒ 必要に応じてフェイスマスク、ゴーグル、プラスティック(使い捨て)エプロン着用

④床が汚れたら

⇒ 使い捨て手袋を着用して消毒剤で清拭。

⑤針刺し防止のため

⇒ 注射針のリキャップ禁止、針刺し防止器具使用、感染性廃棄物専用容器(針棄てボックス)へ廃棄

<感染経路別予防対策>

1.接触感染

 ①感染様式:手指・食品・器具などに直接・間接的に触れることで感染する

 ②主な感染症:疥癬、しらみ、ヘルペス、MRSA、ノロウィルス、腸管出血性大腸菌など

 ③主な予防策:手洗い、使い捨て手袋着用、ガウン(予防衣)着用

2.飛沫感染

 ①感染様式:飛沫粒子(5μm以上の大きさ)が咳、くしゃみ、会話などで飛び散り感染する

  ※飛沫粒子は、1m以内に床に落下し、空中を浮遊し続けることはない

 ②主な感染症:インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、風疹、流行性耳下腺炎、レジオネラ症など

 ③主な予防策:手洗い、うがい、使い捨てマスク着用

3.空気感染

 ①感染様式:飛沫核(5μm以下の大きさ)が咳、くしゃみなどで飛び散り空気中を浮遊して感染する

  ※飛沫核は、空中に浮遊して、空気の流れによって拡散する

 ②主な感染症:結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹など

 ③主な予防策:換気(6~12回/時間)、N95マスク着用

介護職は、正しい感染症の医学的知識と対策法を知った上で、感染症の予防対策を実践をすることで、過度な予防策を防ぎ利用者の人権を守ることが求められます。



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