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介護事故の対応は初期対応が肝腎です

介護事故は、いつでもどこでも起こり得ます。介護ケアが行われるところには、常に介護事故のリスクがあると言えます。

多くの日常的な利用者への介護サービス・支援の提供場面では、利用者と介護職との協働や利用者と生活環境との間に齟齬が生じないことで、介護事故のリスクは表面化することはなく、利用者、介護職共に介護事故を意識することも無いと思われます。

日常的な介護サービス・支援となるはずの場面が、利用者や介護職それぞれの心身の状態や利用者の生活環境のわずかな変化などにより、介護事故のリスクは表面化してヒヤリハットとなったり、介護事故に至ってしまうことになる場合があります。

介護事故は起こって欲しくないもの、起こしたくないものですが、介護事故が起きた時にどのように対応したら良いかは、起こるはずがない、起こすはずがないので不要だと思いたい気持ちは誰にでもありますが、介護ケアの専門職として、緊急時の対応は必ず知っておかなくてはならない事のひとつであります。

下の図1は、大分県豊後大野市が作成した「介護事故報告のフローチャート」です。介護事故発生から終結までの手順が示されています。このフローチャートは、介護サービス事業者が保険者への事故報告の時期と内容などを示しながら事故対応の手順が記されています。

①初期対応(最優先事項)

介護事故が発生した場合には、初期対応が最も重要であることは、誰にでもわかることだと思います。ここでの対応が拙劣であったとすれば、多くのリスクが一気に表面化するおそれがあります。

介護事故が発生した際の司令塔、情報を集中させ判断、指示をする職員を定められればベターですが、緊急時に誰もが司令塔になれるよう心構えを持つことも必要と思われます。

②事故発生報告(電話もしくはFAX)

③事故に関する記録の作成と原因の特定

通常の介護ケアの記録には、特別な場合を除き時刻の記載は不要と考えられますが、緊急時だからこそ時間経過を記録に残さなくてはなりませんので、時刻のチェックは一つ一つの対応の区切りでは行わなくてはなりません。

④利用者、家族への説明

介護事故の対応を担当することとなった職員は、介護ケアの専門家として客観的な視点で、事実に基づく事故に関する経過や原因等を説明しなくてはなりません。

⑤事故発生報告(文書)

⑥事故再発防止策等の検討

⑦損害賠償や再発防止対策等の説明

介護保険制度となることで、老人福祉制度では措置として行われていた介護サービスが利用者と介護サービス事業者との間で介護サービス契約が行われることになりました。介護サービス契約によって、介護サービスに安全配慮義務違反が生じた場合には、介護サービス事業者が損害賠償責任を負うことになりました。

老人保健制度では、損害賠償責任を求める裁判となった場合には、措置決定を行った地方自治体が被告となっていましたが、介護保険制度では介護サービス事業者が被告となります。

⑧事故最終報告

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介護職は専門職として介護事故が生じた時だけでなく、ヒヤリハットなことが起きた場合などの時に、最も悪い予後と最も良い予後とを考えて、どのような対応が必要かを判断する習慣が必要です。

記録は、事実が事細かく記録されていれば良いものではありません。客観的かつ端的に記載することを、日常的に心がける必要があります。記録は、開示される可能性のあるものです。記録には、事実の記載と所見は必要ですが、感想は不要です。



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