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介護ケアには介護事故のリスクが常にあります

介護事故とは、介護ケアを提供する介護サービス事業者や職員の過失の有無にかかわらず、介護ケアのサービス・支援が利用者に提供される時に発生した事故と考えられます。

介護保険制度の介護サービス全体に対しての介護事故についての定義やガイドラインはありませんが、「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」が平成25年3月に作成されています。

介護事故:施設内および職員が同行した外出時において、利用者の生命・身体等に実害があった、または実害がある可能性があって観察を要した事例(施設側の責任の有無、過誤か否かは問わない)

※自傷、行方不明、チューブ抜去など利用者自身が起こしたけがや事故(自損事故)、利用者同士のトラブル、経済的・精神的被害の事故等を含みます。

※職員の被害(労災)は含みません。

特別養護老人ホームで発生した介護事故の定義が示されており、「施設内および職員が同行した外出時において」という部分を、「介護ケアのサービス・支援が利用者に提供される時に」、「(施設側の責任の有無・・・)」を「(介護サービス事業者側の責任の有無・・・)」と置き換えると、介護サービス全体に対しての介護事故の定義に読み替えられそうです。

特別養護老人ホーム介護事故予防ガイドラインは、利用者の立場に立ってより良い介護ケアが行われることを目指しており、利用者に被害があったかどうかに重点が置かれています。本来、介護事故について定義を示さなければならない介護保険の保険者である国や地方自治体は、全国一律の介護サービス事業者に対する報告基準やガイドラインを持たないまま、介護事故報告について自治体個々の要領等で定めていますが、介護サービス事業者に求めている報告内容がまちまちなために、国は全国統計を取ることが困難な状況であるという状態になっています。

介護事故とは具体的にどのような事故が起きているのかを確かめるには、地方自治体の介護事故をまとめた報告書が公表されていますので、数は少ないものの統計的な介護事故の内容を知る事が出来て、どのような介護事故が多いかは知る事が出来ます。また、介護サービス事業者を相手取った介護事故の損害賠償請求訴訟の判例で、事故の具体的な内容と司法判断が確認出来ます。

介護事故を起こさない、起こさせないことが理想ですが、介護ケアには介護事故のリスクは常にあるという事を、介護サービス事業者、職員だけでなく利用者、利用者家族等も知った上で、利用者が中心となる介護の実践を目指す事が必要となります。



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