介護保険制度は、2025年(平成37年)の将来像に向かって、次々と制度に手が加えられて、「高齢者を社会で支える」中心的な役割は、地域包括ケアシステムに取って代わられると予想されます。
地域包括ケアシステムは、地域包括ケアの5つの視点による取り組みを充実させることが必須としています。
①医療との連携強化
②介護サービスの充実強化
③予防の推進
④見守り、配食、買い物など、多彩な生活支援サービスの提供や権利擁護など
⑤高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備
地域包括ケアの5つの視点は、介護職にも大きくかかわりがあるものです。介護職に求められている社会的責任を果たすためにも、地域包括ケアの5つの視点による取り組みが充実するよう努力する必要があります。介護職は、ケアチームの協働をより一層はかるだけでなく、社会資源の活用や開発などの取り組みも必要となります。
平成27年4月に介護保険法は大幅な改訂が行われる事が予想されます。医療・介護連携、認知症施策、地域ケア会議、生活支援、介護予防の充実を行うことを目指すことになっているようです。現在の制度がどのように変わって行き、利用者が主体となる介護が、より一層行えるようになるのかを、介護職は見定めて行かなければなりません。
地域包括システムのために地域支援事業が推進されることで、生活支援・介護予防は地域支援事業に完全移行することになる見込みです。介護保険制度が導入されてから、訪問介護サービスを行うに当たって、処遇困難ケースについては、訪問介護サービス事業所が対応できない場合には、市町村に所属したヘルパーが派遣されていました。
介護保険制度の充実により、市町村に所属しているヘルパー派遣は廃止される事になり、処遇困難ケースの扱いについては、実力のある訪問介護サービス事業者が引き受けてとなり、ヘルパー廃止の問題は終息しました。
平成27年度より要介護・要支援認定のうち要支援認定者は、地域支援事業に移行することになる見込みです。
果たして全ての要支援認定者が地域支援事業の利用が適当なのか、要介護・要支援認定の見直しや要支援2認定の廃止の検討が必要と考えられます。
平成27年4月に制度改正が行われるとした場合に、介護職にかかわる重要な課題として、処遇困難ケースに対しての対応が考えられます。処遇困難ケースの対応について、制度が施行されまでに、地域ケア会議で検討され方針・対応が決定される事を、介護ケアに関わる介護サービス事業者、従事者は求めて行かなければならないと思います。
図1:地域包括ケアシステムについて 厚生労働省資料より
図2・3:予防給付の見直しと地域支援事業の充実について 厚生労働省資料より
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