介護職など介護ケアを行う職員は、利用者個人に関する心身の状態や生活状況、生活環境だけでなく、個人の内面部分、個人の尊厳にかかわる事柄まで、介護ケアのサービス・支援の提供の為に知る事が必要と考えられています。面接やサービス・支援の提供場面で、個人の内面部分や尊厳にかかわる事柄を、利用者個人の情報として知ることになります。
利用者個人の内面部分や尊厳に関わる事柄は、利用者の行動や面接などによって知ることが出来ますが、そうでなければ誰にも知られることのないものです。この利用者自身の行動や面接などによらなければ、誰にも知られることのないものを[プライバシー|内(個人の内にあるプライバシー・見えないプライバシー)]とします。
利用者が行動することで[プライバシー|内]は、第三者が知ることが出来るようになり、[プライバシー|外(個人の外にあるプライバシー・見えるプライバシー)]となります。[プライバシー|外]が、個人を特定できる情報(氏名、生年月日、住所など)と一緒に取り扱われることによって、[プライバシー|外]は個人情報に加わることになります。
プライバシーには、[プライバシー|内]と[プライバシー|外]との二つの要素があると考えると、プライバシーと個人情報の関係が整理出来るかと思います。
[プライバシー]と[個人情報]
[プライバシー|内]&[行動・行為]⇒[プライバシー|外]
[プライバシー|外]+[個人特定情報]⇒[個人情報]
個人情報はプライバシーを含むみますが、プライバシーと個人情報とは同一ではありません。
プライバシーは、[プライバシー|内]の状態にあるものは、本来は誰からも干渉や侵害を受けるものではないものですが、[プライバシー|外]となれば、干渉や侵害を受ける可能性が出てくるだけで無く、情報として管理されてしまう可能性があります。
介護職は、利用者のプライバシーのうち、本来は誰からの干渉や侵害を受ける事の無い[プライバシー|内]を、介護サービス・支援の提供のために外在化することになり、介護職が介護ケアを行う事で[プライバシー|外]の干渉・侵害を行うことになる危険性があることを忘れてはなりません。
介護職が介護サービス・支援の提供について記録をすることは、[プライバシー|外]を個人情報に変えることになりますので、その取り扱いは個人情報保護として個人情報保護法やガイドラインに従ったものでなければなりません。
参考:プライバシーとはなにか--「プライバシー保護」と「個人情報保護」の違いに関する考察--
1999年8月28日 弁護士 牧 野 二 郎
http://www.asahi-net.or.jp/~VR5J-mkn/point/privacy/
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