介護ケアの仕事をする介護職をはじめとした介護サービス事業者の職員には、介護保険法に基づく介護サービス事業者の指定基準に、それぞれのサービス事業者ごとの守秘義務が課せられています。個人情報保護法とガイドラインは、指定基準の守秘義務を優先しています。そして、原則としてサービス事業者が所持する情報が、個人を特定することが出来るものである場合に、個人情報としてその取り扱いについて定めています。
また、介護サービス事業者に属さない専門職には、それぞれの資格法で守秘義務規定が定められています。さらに、介護サービス事業者以外の介護保険制度にかかわる事業者、団体等も個人の秘密を知り得る業務を行う事から、それぞれの事業者、団体等が守秘義務規定を定めています。
介護ケアのチームケアを行ってゆく上では、ケアチームの情報共有、協働は欠かせないものです。しかし、チームケアのメンバーの中で、少なくはない専門職が守秘義務や個人情報保護について誤った理解をしているという現状があります。
介護ケアのケアチームは、利用者個人の心身の状況や生活状況など、他人に知られることのない秘密や他人に知られたくない秘密を、職務の中で知り得ることがあるという共通点があり、そのために全職種に守秘義務が課せられています。
守秘義務は、業務上知り得た秘密は他人に知らせたり、漏らしたりしてはいけないとしていますが、誰に対しても行っていけない訳ではなく、利用者の同意があれば業務上必要な秘密を共有することは問題はありません。
利用者AさんのXという秘密を、Mさんという介護職が、Aさんの同意を得た上で、ケアチームの会議などで共有することは問題のないことです。たとえば、ケアチームの会議に出席したN,O.P、Qさんという専門職者は、それぞれに守秘義務を負っています。Mさんが示したAさんの秘密は、Mさん自身の(業務上知り得た)秘密となります。従って、N.O、P、Qさんは、業務上知り得たMさんの秘密について、それぞれ守秘義務に縛られることになります。
個人情報保護法は守秘義務規定を優先していますので、業務上必要な個人情報をケアチームで共有することは、守秘義務と同様に問題はありません。
ケアチームに業務上必要な個人情報を共有することは、チームケアにとって必要なことですが、個人情報を共有するためのTPOに注意しなくてはならないことは、守秘義務を負った専門職として当然の責務であります。
302304