介護保険制度の要とされるケアマネージャーは、介護保険制度と同時に作られた職種です。ケアマネージャーとなるには、介護、医療、保健、福祉分野の資格要件を満たして、5年もしくは10年の実務経験がある者が介護支援専門員実務研修受講試験を受験して、試験に合格することで研修を受講し終了したのちに、介護支援専門員の登録を都道府県に行うことでケアマネージャーとして仕事をすることが出来ます。
介護ケアのサービス・支援の提供を受けるには、ケアマネージャーのケアマネジメントを受ける事で、フォーマル、インフォーマルな社会資源を活用した介護サービス・支援を利用する事が出来ることになっています。介護保険制度が開始された際には、措置から契約へという制度の大転換があり、とにかくサービスを切らさないようにという現実対応が優先されたために、ケアマネジメントよりもケアプラン作成と介護ケアの提供、支給限度額管理という状況となりました。
介護ケアが介護保険制度で行われるようになり、制度の運用は落ち着いたにもかかわらず、ケアマネージャの仕事はケアマネジメントを行うことではなく、ケアプラン作成と実施、支給限度額管理という状況には大きな変化は見られていません。介護保険制度の改定により要支援者に対するケアマネジメントは、ケアマネージャーより地域包括支援センター職員へと移行しましたが、地域包括支援センター職員も地域包括システムの業務を行うよりも、要支援者へのケアプラン作成と実施、支給限度額管理に追われることになっています。
ケアマネージャーに支給限度額管理という業務を行わせている限り、介護保険制度が目指しているケアマネージャーによるフォーマル、インフォーマルな社会資源の活用による介護サービス・支援の提供は「夢のまた夢」と言わざるを得ません。
介護職員がケアマネージャーとなるには、介護職員初任者研修を終了した後に、介護職員として介護の仕事に従事して5年以上、実働900日以上で介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格が得られます。
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