対人支援を主な業務とする介護職は、介護職員初任者研修にはじまり介護職員実務者研修などで、介護についての知識、技術、態度などの理論を身につけて行きます。介護についての理論は、他の対人支援の理論が実践を求めているように、実際に介護職として仕事の上で実践して行かなければ、「絵に描いた餅」となってしまい、食べて身にすることも出来なくなってしまいます。
介護職のプロとして位置づけられている「介護福祉士」は、平成21年(2011年)には134.3万人の介護職員のうち45.5万人となっています。現職の介護職員のうちおよそ1/3が介護福祉士となります。
介護職員はこれからも介護の仕事の受容は増えるばかりであり、2020年には、約190万人の介護職員が必要となり、国の地域包括ケアシステムの実現を目指すとさらに加わって、200万人以上の介護職員が非強油とされます。
介護福祉士は、介護職員として介護サービス業務を行いながら経験を積み国家試験に合格するか、介護福祉士養成施設を卒業することで現在(平成26年3月/2014年3月)のところ資格を取得するする事が出来ます。介護福祉士は、社会福祉士と同様に実践経験がなくても資格取得が可能となっており、対人支援の専門職種としての資格としては不全感が感じられる資格と思われます。
国は、新成長戦略の名の下で「介護キャリア段位」制度を、平成24年度からはじめており、2020年までに約13万人の介護キャリア段位認定者、毎年約2万人の介護キャリア段位の認定を目論んでいます。
キャリア段位の目指すところは、内閣府のパンフレットによると、「これまでの資格制度で不足していた『実際にその職業についてどの程度の職務の遂行ができるのか』という部分を補うため、『わかる(知識)』と『できる(実践的スキル)』の両面を評価する」としていますが、介護キャリア段位については、国家資格制度(介護福祉士)や研修制度(介護職員初任者研修など)に配慮して、特に実践スキル(能力・技能)を重点的に評価することとしています。
介護職は、対人支援の専門職として理論。知識だけではない実践の場での能力や技能が求められ、介護キャリア段位制度が出来たことで、実践職と言っても良い専門職種としての役割、活動が期待されています。ただ、本来はすべての介護職員が介護キャリア段位の認定を受けていなければならないと思われますが、2020年でも13万人と全介護職員の5%程度という数字が、どれだけこの制度に国が真剣に取り組もうとしているのか、介護保険制度の地域包括システムでの位置づけと同じように将来性が危惧されます。
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