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共助の性格を持つ介護保険制度の限界と地域包括ケアシステム

介護保険制度は「高齢者を社会全体で支える」ための唯一の制度として創設されましたが、12年を経ずして単独の制度では、少子高齢化や財政状況から大幅な拡充を期待することは難しくなったために、「自助・互助・共助・公助」の4つの性格を持つ支援で高齢者を支えて行く事になると国は考えているようです。

地域包括ケアシステムは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的として、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することが出来るよう包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものであります。地域包括ケアシステムには、①住まい、②生活支援・福祉サービス、③介護、④医療、⑤予防の要素があるとされており、①と②を前提として、その上で③、④、⑤の専門的サービスが①、②も含めて相互に関連し、連携しながら、高齢者の在宅生活を支えるとしています。

地域包括ケアシステムの5つの要素には、「自助・互助・共助・公助」の役割を持つ支援がそれぞれに含まれていて、地域や時間的経過によって4つの役割を持つ支援の提供量、内容などが異なって来ると考えられています。「自助・互助・共助・公助」には、優先順位があり、①自助、②互助、③共助、④公助の順となっており、共助の性格を持つ介護保険制度は3番目の順位となっています。

地域包括ケアシステムは、5つの要素に含まれる、4つの役割を持つサービス、支援への取り組みを包括的、継続的に行う事を目指すことになります。その一方で介護保険制度は、フォーマル、インフォーマルなサービス、支援を提供する社会資源の活用を行って、高齢者の日常生活のケアマネジメントを行ってゆくとされていたはずですが、いつのまにか社会資源の一部として、自助、互助に次ぐ3番目の選択順位となる制度として位置づけられるようです。

地域包括ケアシステムは、介護保険制度に代わる「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的として、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することが出来る」支援システムとなることが出来るとは、残念ながら期待できません。そして、いったい介護保険制度は、これからどのようになって行くのでしょうか、介護保険制度のサービス、支援が必要十分に受けられない事になりそうな状況になって来ていると考えられます。

介護保険制度は共助の性格を持つ制度ですから、被保険者は介護保険料を支払っていますので、保険者たる国・地方自治体には、被保険者に介護保険制度の利用が必要十分に受けられるようにする義務があることを、保険者、被保険者いずれも忘れてはなりません。

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