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個別性を尊重しながら介護サービスは一定水準の提供をします

個別性を尊重した介護サービスは、特別な事ではありません。ケアマネジメントにおけるアセスメントは、すでに個別性に着目しながら、利用者それぞれのニーズを抽出して、フォーマル、インフォーマルな社会資源を活用して、個別性を重視したケアプランを作成します。そして、ケアプランによって提供されることとなったサービス、支援は、利用者の能力に応じた自律による自己決定が行われるように、必要な情報提供や支援を行いながら決定されます。

実際に介護サービス、支援を提供する社会資源は、利用者の自立・自律の状態や欲求の到達段階、自立・自律へ向かう日常生活での動機付けの状況などを共有することによって、チームアプローチによる個別性の高い支援を目指します。

介護保険制度でのケアマネジメントは、その手順をひとつひとう進めて行くことが、利用者の個別性を尊重した介護サービスの実施につながりますので、確かに特別な事ではなく日常的に実践されているものと言えます。

介護サービスは、ケアマネジメントをはじめとして、フォーマルサービス、インフォーマルサービスの実施主体や事業者によっては、利用者と契約によって有償・無償のサービス、支援が提供されることになります。有償・無償、契約の有無で問うことではありませんが、やはり介護保険という制度の中で、利用者から契約によって利用料を受け取っている事業者には、個別性を尊重した介護サービスの提供と同時に、ある一定の水準の介護サービスの提供を行う義務が生じます。

介護サービスに限らず対人支援の業務は、ひとりひとり個別性の高い利用者への対応が求められますので、どうやって一定水準のサービスなどを提供する事が出来るかという大きな課題が生じます。介護職も介護の専門職として、この課題を克服してゆかなくてはなりません。

一定水準の介護サービス提供という課題は、利用者に個々で対応している介護職個人の問題と考えられがちですが、身体拘束防止と同様に事業所全体の問題として取り組む必要があります。事業所によっては「標準化」の取り組みを行っているところもあるようです。「標準化」というと介護によって一定の手順を決めて、マニュアルが作られて、マニュアル通りに定型的に行う事と考えがえられがちです。

「標準化」の本来の目的は、決められた手順などによって一定の水準の介護サービスを提供する事にあり、マニュアル通りに行えば、それ以外の事は行わなくても良い、行ってはならないというものではありません。誰が担当になっても、ある一定水準の介護サービスが提供され、さらに利用者個々の生活環境や欲求段階、動機付けの状態に応じた個別的なサービス、支援が提供される事が、介護サービスには求められています。

202108



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