動機付けと自立に向けた介護

動機付けには、外的な動機付けと内的な動機付けがあり、外的な動機付けを「インセンティブ」、内的な動機付けを「モチベーション」と呼ぶことがあります。また、モチベーションを一般的には、「意欲」、「やる気」、「士気」という意味で使うこともあり、この場合は内的・外的両方の動機付けを表しています。

「インセンティブ」という言葉を良く耳にしますが、行動を起こしてその成果に報酬や評価など、外部からなんらかの果実が得られる場合の動機付けを意味します。それに対応する「モチベーション」は、自己決定によって行動を起こすことで、自分にとって楽しいこと、気持ちの良い達成感が得られることなど、自己の内部に果実が得られる場合の動機付けを意味しています。

インセンティブは、その果実がくり返し得られる事により、価値の低下や魅力などの減少が生じてしまい、長期間の高い動機付けを持続することが難しいと言われています。また、インセンティブからモチベーションへと動機付けの重心が移ることも難しいと言われています。

モチベーションは、自分の中に果実が生まれ、長期間の高い動機付けが得られ、行動が習慣化される事が容易であると言われています。また、モチベーションによって生まれた果実は、高いQOLを得たと感じられる事もあると考えられます。

介護の場面では、時には高いインセンティブが必要な事やインセンティブによって内的な動機付けであるモチベーションが引き起こされ、行動を習慣化する事が必要な場合もあります。しかし、自立に向けた介護の基本はその人の能力に応じた自律による自己決定とそれに伴う行動となります。従って、介護職は利用者のモチベーションがどのような果実を得る事によって起きているのか、モチベーションがどのようにして高められて行っているのか、またどうやって持続され続けているかを、チームアプローチのメンバーと協働しながら知る事に努める事が求められます。

202107



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